アリス・ケッペル

アリス・ケッペル：エドワード7世が寵愛した女性

アリス・フレデリカ・エドモンストン・ケッペル（1869年 - 1947年）は、イギリス国王エドワード7世の愛妾として、その名を知られています。彼女は「La Favorita（お気に入り）」と呼ばれ、国王から深く愛されました。

生い立ちと結婚

アリスは、スコットランドの有力氏族エドモンストン家の末子として生まれました。エドモンストン家は、ステュアート家と同盟関係にあり、アリスは由緒ある家柄の出身でした。1891年、彼女はアルベマール伯爵家の三男ジョージ・ケッペルと結婚しました。しかし、夫は裕福とは言えず、アリスはより良い生活を求めてロンドンへ移り住みます。

エドワード7世との出会い

ロンドンでの社交界デビュー後、アリスはその美貌と魅力でたちまち注目の的となります。そして、当時皇太子であったエドワード7世に見初められ、彼の愛妾となるのです。二人の関係は、エドワード7世が崩御するまでの12年間続きました。

王の愛妾として

アリスは、エドワード7世の愛妾としての立場をわきまえ、常に控えめな態度を心がけました。王妃アレクサンドラへの礼儀を重んじ、公の場では決して出過ぎた振る舞いをしませんでした。そのため、王妃もアリスに対し、表面上は敵意を示すことはなかったと言われています。アリスは、政府高官や貴族たちからも好感を持たれ、政治的な影響力も持っていたとされています。

王の死後

1910年にエドワード7世が崩御すると、アリスは家族と共にセイロン島へ移住し、2年間を過ごしました。その後、イギリスへ戻り、1947年に亡くなりました。

逸話と子孫

アリスの長女ヴァイオレットは、作家ヴィタ・サックヴィル＝ウェストとの駆け落ち騒動を起こし、スキャンダルとなりました。また、アリスの曾孫にあたるカミラ・ローズマリー・シャンドは、チャールズ3世と結婚し、現在のイギリス王妃となっています。

アリス・ケッペルは、美貌と知性、そして社交術を駆使し、エドワード7世の愛妾として、イギリス社会に大きな影響を与えました。彼女の生涯は、激動の時代を生きた女性の物語として、今もなお語り継がれています。

参考文献

* 森護『英国王妃物語』三省堂、1986年。

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