アリマタヤのヨセフ

アリマタヤのヨセフは、新約聖書に登場する重要な人物であり、イエスの遺体を引き取ったことで知られています。彼は、ユダヤ人であり、その行動は四福音書に記録されています。正教会では、アリマフェヤのイオシフとして転写され、七十門徒の一人として数えられています。また、正教会、カトリック教会、聖公会で聖人として崇敬されています。

四福音書には、アリマタヤ出身のヨセフがイエスの遺体を埋葬するためにピラトに願い出たことが記述されています。それぞれの福音書は、ヨセフの人物像を異なる視点から描いています。

マタイ福音書 では、ヨセフを「金持ちでイエスの弟子」と表現しています。
マルコ福音書 では、「身分の高い議員」としています。
ルカ福音書 では、「神の国を待ち望んでいた」「善良でただしい人」と描写されています。
ヨハネ福音書 では、「イエスの弟子でありながらユダヤ人を恐れてそのことを隠していた」人物としています。

福音書は、イエスの弟子たちが逃げ出した状況下で、アリマタヤのヨセフがあえてイエスの遺体を引き取ることを申し出たという点で一致しています。ヨセフはイエスの遺体を亜麻布で巻き、香料とともに墓（当時の習慣に従い洞窟）に葬りました。

中世ヨーロッパの伝承では、アリマタヤのヨセフは聖杯伝説と結び付けられています。伝説によれば、彼は十字架の下でイエスの血を受けた聖杯を持ってイギリスに渡ったとされています。また、別の伝説では、少年時代のイエスがヨセフと共にブリテン島南西部のコーンウォールにある錫鉱山を訪れ、坑夫たちに錫の抽出方法や製錬方法を教えたとも伝えられています（セイバイン・ベアリング＝グールド『A Book of The West: Being An Introduction To Devon and Cornwall』による）。

アリマタヤのヨセフはキリスト教の聖人として、正教会では7月31日、カトリック教会では3月17日に祝われています。

関連人物として、ニコデモが挙げられます。ニコデモもイエスの弟子であり、ヨセフとともにイエスの埋葬に関わったとされています。

アリマタヤのヨセフの物語は、信仰、勇気、そしてイエスへの献身を象徴するものとして、今日まで語り継がれています。

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