アリ・バタネン

アリ・ピエティ・ウオレヴィ・ヴァタネン

アリ・ピエティ・ウオレヴィ・ヴァタネン（1952年4月27日生まれ）は、ラリードライビングの世界で多くの功績を残したフィンランドの著名なドライバーです。彼のキャリアは多岐にわたり、1981年には世界ラリー選手権（WRC）でドライバーズチャンピオンに輝き、さらにパリ・ダカール・ラリーでは4度の総合優勝を果たしました。また、モータースポーツの領域のみならず、欧州議会議員としても活躍しました。

モータースポーツでの成果

バタネンはフィンランド東部のトゥーポヴァーラに生まれ、1970年にフィンランド国内のラリー選手権でオペル・アスコナを用いてプロドライバーとしての道を歩み始めました。その後数々のラリーで成功を収め、1974年からWRCに参戦。彼はフォードのワークスチームに所属した後、ワークス撤退に伴いフォード系のプライベーター「ロスマンズ・ラリーチーム」に移籍しました。1980年にはアクロポリスラリーでWRC初優勝を達成し、1981年には再び他の強豪たちを抑え込み、ドライバーズタイトルを獲得しました。この時のコ・ドライバーは、後にプロドライブを創業するデビッド・リチャーズが務めていました。

しかし、彼のドライビングスタイルは当時は賛否が分かれており、1982年からはオペルに在籍しながら中堅に名をとどめることに。1984年にプジョーに移籍すると、後半戦において3勝を収め、1985年には開幕2戦連続で勝利を挙げましたが、アルゼンチンでの事故により重傷を負い、復帰には長い18ヶ月を要しました。

1987年からはスバルやフォード、BMWなどでのスポット参戦を経て、1988年から1990年まで三菱チームに所属。在籍中も高い成果を収め、1992年からはプロドライブ運営のスバル・ワールドラリーチームでも活躍。特に1993年の1000湖ラリーではスバル・インプレッサのデビュー戦を2位でフィニッシュし、その後フォードへと移籍し、1998年まで活躍を続けました。

パリ・ダカール・ラリーでの成功

WRCから離れた後、プジョーに参加してパリ・ダカール・ラリーに注力。1987年にはプジョー205ターボ16GRで優勝し、その後も1988年と1989年に連勝を収めました。特に1988年には新型車両のプジョー・405ターボ16を駆りながら一時的に首位を走行したにもかかわらず、車両の盗難により失格となるという驚きの出来事もありました。彼は「砂漠のライオン」との異名でも知られており、その活躍は他に類を見ないものでした。

90年代に入ると、シトロエンチームに移籍しにもかかわらず、彼は1994年からはWRC活動を優先しラリーレイドを一時休止。その後もダカールでのステージ通算での勝利数は歴代トップの記録を保持しています。

政治へと転身

1993年にフランスに移住したバタネンは政治にも関心を持ち始め、1999年にはフィンランド代表として欧州議会の議員に選出されました。2004年にはフランス代表として再選されることに。彼は2009年に国際自動車連盟（FIA）会長選挙に出馬し、少数派の支持を受けて激しい選挙戦を展開しましたが、最終的には当選には至りませんでした。

結論

アリ・ピエティ・ウオレヴィ・ヴァタネンのキャリアは、ラリードライビングの頂点と政治活動の両方での成功を象徴するものです。彼の情熱はモータースポーツの世界を超え、政治においても影響を与え続けています。

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