アルグン

アルグン（Arγun）

アルグンは1258年頃に生まれ、1291年3月10日に亡くなるまでイルハン朝の第4代君主として在位しました。彼はイル・カン、すなわちイルハンとして知られており、父アバカの長男です。母はカイミシュ・ハトゥンで、彼には弟のガイハトゥや従兄弟のガザンといった人物がいます。また、劉・ハン（イルハン）は西アジアの歴史において重要な存在であり、彼の治世は特に政治的な紆余曲折が目立つ時期でした。

生涯と継承争い

アルグンは自身の父が亡くなった後、後継者を決めるクリルタイで大きな対立に直面します。当時彼の叔父であるテグデルやモンケ・テムルが支持されましたが、両者の間で争いが激化します。特に、モンケ・テムルの死後、アルグンは彼を支持していた母親たちの援助を受けましたが、それでもなお他の家族や部将との間で意見の相違がありました。最終的に、アバカの後を継いだテグデルが即位するも、アルグンは彼に何度も反抗し、テグデルを捕らえるに至りました。テグデルを処刑した後、アルグンは1284年に即位します。このように、彼の即位は一連の政治的駆け引きや争いの結果得られたものでした。

治世と外交

アルグンの治世にはヨーロッパに対する外交活動が目立ちます。彼は、主にローマ教皇庁やフランス王国との関係構築に力を注ぎました。1288年には、ネストリウス派の使節がローマに派遣され、教皇ニコラウス4世に国書を手渡しました。これにより、アルグンは称賛の対象となり、聖地エルサレムの奪還を促されます。さらに、1289年には彼の側近がローマに到達し、エルサレム攻略への承認を受けます。しかし、計画は彼が病に倒れたことでボツになり、結局達成されませんでした。

晩年と死

アルグンは治世の後半を病気と闘いながら過ごしました。1291年にはアッラーン地方で病没し、わずか34年の生涯を終えます。彼の遺体はモンゴルの伝説の区域に埋葬され、後にその地にオルジェイトゥが廟を建立します。

家族

アルグンは多くの子供を持っており、男子は4人、女子も4人いました。長男はガザン、次男はイェス・テムル、三男はオルジェイトゥです。さらに、彼には数人の妻がいましたが、その中でも大ハトゥンなクトルク・ハトゥンやウルク・ハトゥンが特に知られています。アルグンの子供たちは後の世代に影響を与え、彼の血脈を繁栄させることとなるでしょう。

おわりに

アルグンの治世は彼自身の個人的な成功だけでなく、家族や君主としての挑戦、そして国際的な外交戦略においても重要な時代でした。彼の亡き後、イルハン朝はさまざまな困難に直面し、次代の指導者に大きな課題を残しました。

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