アルコロン州

アルコロン州

アルコロン州（State of Ngarchelong）は、南太平洋の島国パラオ共和国を構成する州の一つであり、同国最大の島であるバベルダオブ島の最北端に位置しています。地理的には、北側は海を隔ててカヤンゲル州と向かい合い、南側はガラルド州に隣接しています。現地語での発音は日本語の「ガラロン」に近いとされており、パラオ国内で活動する日系ツアー会社などでは、この呼称を用いる例も少なくありません。

州の面積は約10平方キロメートルと小規模であり、パラオの州としては3番目の小ささです。2015年の国勢調査における人口は361人と記録されており、住民の大半は州都であるMengellangおよびOlleiの集落に集中して居住しています。

歴史と文化遺産

アルコロン州は、古代パラオにおける重要な歴史的・文化的な遺産が数多く残されていることで知られています。特に注目されるのはバドルルアウ遺跡で、この広範囲にわたる遺跡には、古代の巨石柱（ストーン・モノリス）が点在しています。これらの巨石柱の中には、人の顔のように彫刻が施されたものがあり、「ストーン・フェイス」として特に有名です。その起源や用途については未だ多くの謎に包まれており、現在も発掘調査や研究が続けられています。バドルルアウ遺跡以外にも、コンレイの石棺をはじめとする、過去の文明の痕跡を示す数多くの遺跡が今日まで保存されています。これらの遺跡群は、かつてこの地が活発な文化的活動の中心であったことを示唆しています。

社会基盤

州の行政機能は州都Mengellangに置かれています。住民の生活圏はMengellangとOlleiに集約されているのが特徴です。

教育に関しては、パラオ共和国教育省が管轄する公立学校によって提供されています。州内にはアルコロン小学校があり、これは1947年に設立された歴史ある学校です。設立当初はYebong集落に校舎がありましたが、1953年に現在の州都Mengellangへ移転しました。現在の校舎建物は1964年に建設されたものです。なお、隣接するガラルド州にあるガラルド小学校は、元々アルコロン小学校から分離・独立して設立された経緯を持つとされています。中学校は州内にはなく、子供たちはパラオ国内で唯一の高等学校であるパラオ高等学校（旧首都コロールに所在）へ通学しています。

対外関係

国際的な交流として、アルコロン州は中華民国（台湾）の基隆市と姉妹都市提携を結んでいます。このような関係は、文化交流や相互理解を深める上で重要な役割を果たしています。

アルコロン州は、その小さな面積に比して、古代からの豊かな歴史遺産と独特の文化、そして自然景観が融合した、パラオの中でも特筆すべき地域と言えるでしょう。

（参考文献: 須藤健一監修『パラオ共和国 過去と現在そして21世紀へ』おりじん書房、2003年）

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