基隆市

基隆市：台湾北部の港湾都市

基隆市は、台湾北部、首都台北市の北約30キロメートルに位置する活気ある港湾都市です。台湾の貿易と物流において重要な役割を担っており、高雄港に次ぐ第2位の貨物取扱量を誇る基隆港は、台北市の外港として機能しています。鉄道と高速道路の起点でもあるため、台湾全土とのアクセスも良好です。

地理と気候

基隆市は、東を雪山山脈、西を大屯山に囲まれた、平地が少ない地形をしています。東シナ海に深く入り込んだ湾は、天然の良港を形成しています。

気候は温暖湿潤気候に属し、世界有数の多雨地帯として知られています。「雨港」や「雨都」の異名を持つほど、年間を通して雨が多く、特に北東季節風が吹く10月から4月にかけては雨天日数が多いのが特徴です。

行政区画

基隆市は、中山区、七堵区、暖暖区、仁愛区、中正区、安楽区、信義区の7つの区から構成されています。

歴史

基隆という地名は、かつてこの地に住んでいた台湾原住民のケタガラン族の族名に由来すると言われています。台湾語では現在でも「鶏籠（ケーラン）」と呼ばれています。

17世紀には、スペイン人、オランダ人が相次いでこの地を占領し、サン・サルバドル城などの施設を建設しました。その後、鄭成功、清朝の支配下を経て、1863年には対外的に開港しました。1875年には、清朝政府が基隆に台北分防通判を置き、「基地昇隆」を願って「鶏籠」から「基隆」に改称されました。

1884年には清仏戦争の舞台となり、1895年には日本が台湾を統治するようになると、基隆は重要な港湾都市として整備が進められました。港湾の浚渫工事や防波堤の建設により、大型船舶の停泊が可能になり、台湾縦貫鉄道の起点にも指定されるなど、経済的な重要性を増していきました。軍事拠点としての役割も担い、基隆要塞が設置されました。

日本統治時代には、内地との貿易港として発展し、多くの日本人が移住して都市化が進みました。1924年には市制が施行され、人口は急増しました。太平洋戦争中は、米軍の空襲を受けました。

戦後、中華民国国民政府の統治下に入り、現在も台湾北部の主要港湾都市、台北市の外港として発展を続けています。1984年には、コンテナ貨物取扱量世界第7位を記録するなど、国際貿易において重要な役割を担っています。近年は、基隆港周辺の整備による観光化も進められています。

文化と観光

基隆市には、歴史的な建造物や自然景観、活気ある市場など、多くの観光スポットがあります。

名所: 基隆廟口夜市、中正公園、和平島、基隆島、八斗子公園、外木山海岸、碧砂漁港、崁仔頂漁市など

祭り: 鶏籠中元祭（毎年旧暦7月頃に行われる、台湾でも有名な祭り）

交通

基隆市は、鉄道、バス、高速道路などの交通網が整備されています。また、基隆港からは、国内外の航路が運航されています。近年は、ライトレール方式の基隆軽軌の建設が進められています。

教育機関

国立台湾海洋大学をはじめ、多くの大学、高等教育機関があります。

姉妹都市

基隆市は、日本、フィリピン、韓国、オーストラリア、アメリカ合衆国、カナダ、チリ、アルゼンチン、コスタリカ、南アフリカ共和国など、世界各国と姉妹都市提携を結んでいます。

基隆市は、歴史と自然、そして活気に満ちた、魅力的な都市です。

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