アルス (出版社)

アルス（ARS）について

概要

アルス（ARS）は、日本における重要な出版社の一つであり、特に芸術や文学の発展に寄与しました。創業者は、著名な詩人北原白秋の実弟、北原鐵雄で、彼は1887年に生まれ、1957年に亡くなりました。アルスは、日本初の写真雑誌である『カメラ（CAMERA）』の発行や、北原白秋の詩集の出版など、多岐にわたる作品を世に送り出しました。

歴史

北原鐵雄は、1915年に慶應義塾大学を中退して阿蘭陀書房を設立し、芸術雑誌『ARS（アルス）』を発行しました。この雑誌には、森鴎外、上田敏、谷崎潤一郎、志賀直哉、北原白秋などの著名な作家が寄稿しました。1918年に社名をアルスに変更し、その後、文学書や美術書を中心に数多くの作品を出版しました。

特に目を引くのは、戦前・戦後を通じての写真・カメラ雑誌の代表格である『カメラ（CAMERA）』の月刊誌を1921年に創刊したことです。また、アルスは『アルス最新写真大講座』などの講座シリーズや、『西洋音楽講座』をはじめとした多様な教育書の出版にも取り組みました。

出版物

アルスは著名な雑誌や講座を多く持ち、次のような主要な雑誌の創刊などを行いました：

• - 月刊「カメラ」（CAMERA） - 1921年
• - 月刊「芸術写真研究」 - 1922年
• - 月刊「カメラクラブ」 - 1935年
• - 月刊「写真の教室」 - 1951年
• - 定期刊行物「アルスグラフ」 - 1951年

また、講座シリーズでは「西洋音楽講座」全6巻（1924年）や「アルス音樂大講座」全7巻（1936年）の他、与えられる多岐にわたるテーマの講座を発行しました。

さらに、『日本児童文庫』シリーズは、大正から昭和にかけて刊行され、梁田、島崎藤村や小川未明などの名立たる作家による寄稿を集めました。その際に、文芸春秋社との激しい競争が繰り広げられたことも注目に値します。

戦時中とその後

第二次世界大戦中の出版統制の影響を受けたアルスは、アトリヱ社と合併して北原出版株式会社に転換しましたが、戦後には再びアルスの名称に戻しました。その後は、再び美術雑誌『アトリヱ』の復刊に成功し、戦後も影響力を持ち続けました。

影響と遺産

アルスが出版した雑誌や書籍は、日本における写真文化や芸術の発展に大きく寄与しました。退社した北原正雄は、新たに玄光社を設立し、写真専門誌の発行を進めていきました。こうしたつながりから、アルスは日本の出版社として非常に影響力のある存在となり、多くの著名な著者や作品を世に送り出しました。アルスの取り組みは、今もなお、多くの読者に親しまれる文化的遺産として残っています。

関連項目

• - 玄光社: 写真関連の雑誌や書籍を発行する出版社で、アルスから独立した北原正雄によって設立されました。

アルスは、文学、写真、教育といった多様な分野でその名を残しており、今後もその業績は評価され続けることでしょう。

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