アルスター・バナー

アルスター・バナー：北アイルランドの旗の歴史と現状

アルスター・バナーは、1924年から1972年まで北アイルランド政府の旗として使用され、事実上の北アイルランドの旗としての役割を果たしていました。しかし、北アイルランド政府の停止以降、公的な地位を失い、現在はアルスター・ロイヤリズム（王党主義）のシンボルとして、また賛否両論のあるシンボルとして存在しています。

起源

アルスター・バナーは、1924年に北アイルランドに授与された紋章を基にしています。イングランドの旗とアルスターの旗を参考に、イギリスの君主を表す王冠が加えられました。旗の中央には、アルスターの赤い手が配置され、赤い手は、北アイルランドを構成する6つの州を表す6つの頂点を持つ星の中に描かれています。

アルスター・バナーは、「（以前の）北アイルランド旗」や「（古い）ストーモント旗」、「アルスター・フラッグ」、「アルスターの赤い手旗」など、さまざまな名称で呼ばれることがあります。ロイヤリストは北アイルランドの別称として「アルスター」を使い、ストーモントはかつて北アイルランド政府が存在した場所を指します。

歴史

北アイルランド政府による使用

1924年、北アイルランド政府は王室御用達許可証によって紋章を与えられ、旗またはバナーに紋章を掲示する権利を得ました。この権利は、1953年のエリザベス2世女王の戴冠式で初めて行使されました。1953年から1972年まで、アルスター・バナーは北アイルランド政府の紋章として、また北アイルランドの市民の事実上の旗として使用されました。

しかし、1972年の北アイルランド紛争中に、北アイルランド政府と北アイルランド議会は北アイルランド暫定法によって停止されました。翌1973年には、北アイルランド憲法法の下で議会がイギリス政府によって廃止され、アルスター・バナーも公用旗としての地位を失いました。

その後の使用

1972年の廃止後も、アルスター・バナー（とそのバリエーション）は、ロイヤリスト（王党派）やユニオニスト（連合派）によって使用され続けています。1998年のベルファスト合意で自治政府と議会が復活した後も、アルスター・バナーが公式に使用されることはなく、公式にはユニオンジャックが掲揚されています。

2004年には、ベルファスト市議会が旗の掲揚に関する調査を委託しました。この調査では、アルスター・バナーが北アイルランドの多くの地方自治体によってユニオンジャックと共に掲揚され続けていることが指摘されました。これらの地方自治体には、アーズバラ議会、キャリクファーガスバラ議会、キャッスルレーバラ議会などが含まれます。

また、アルスター・バナーは、コモンウェルスゲームズにおいて北アイルランドを代表する旗として使用されたり、FIFAによってサッカー北アイルランド代表を象徴する旗として使用されています。

このように、アルスター・バナーは、その歴史的背景と政治的な意味合いから、現在でも様々な形で使用されています。

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