アルテミス神殿

アルテミス神殿について

エフェソスにあったアルテミス神殿は、紀元前7世紀から3世紀にかけて存在した壮麗な神殿です。神殿はアルテミスを奉るために建てられたもので、総大理石で造られていました。現在ではその原形は見られませんが、かつては「世界の七不思議」として知られていました。

歴史的背景

最初に建てられた神殿は紀元前700年頃で、その後660年頃にはキンメリア人によって破壊されました。紀元前550年には、リディア王クロイソスの命によって再建され、その後も何度か火災による破壊が続きました。紀元前356年にはヘロストラトスによって意図的に放火され、再度神殿は失われましたが、その後紀元前323年に再建されます。

神殿の遺跡発見

1863年、イギリスの技師ジョン・ウッドが率いる考古学探検隊は、エフェソスの発掘を開始しました。1869年に神殿跡が発見され、これは東方の古代遺跡の発掘の先駆けとなりました。発見された塔状の円柱やその他の遺物は、現在大英博物館に展示されています。また、調査によって、古い神殿の上に新しい神殿が建てられていたことが判明しました。

アルテミスという女神

アルテミスはギリシア神話に登場する女性の神であり、狩猟や自然の保護を象徴しています。彼女は清純な女狩人として知られ、他の地域と異なり、エフェソスでは特に敬われていました。祭典も催され、彼女の崇拝はエフェソス文化の中心的な要素となっていました。

エフェソスでのアルテミスは、豊穣を象徴する多くの乳房を持った木製の像として崇拝されており、その偶像は他の地域でのアルテミスとは一線を画していました。この偶像はエジプトや近東の影響も色濃く受けていることが示されています。

神殿の構造と芸術

この神殿は、イオニア式の127本の柱によって支えられ、高さは約18メートルに達していました。神殿内部には大理石で装飾された空間が広がり、巨大なアルテミス像が中央に配置されていました。アーティストたちはこの神殿を自らの作品で飾り、競争を通じてその美しさを競っていました。特にエフェソスを築いたアマゾネスの彫刻が多く見られました。

神殿の影響と終焉

エフェソスのアルテミス神殿は、経済的に豊かな地域に位置していたため、様々な文化が融合し、多くの人々に崇拝される象徴となりました。しかし、キリスト教の台頭と共に、次第にその信仰は衰えていきました。ローマ皇帝ガリエヌスの治世において、神殿は略奪され、最終的には完全に破壊されました。その後、建材は他の建物に使われ、神殿跡地にはキリスト教の教会が建設されました。

まとめ

現在、アルテミス神殿の記載は数多くの古代文献に見られ、歴史的な価値を持っています。この神殿は、古代の信仰、文化、建築技術の融合を示す貴重な遺物であり、エフェソスの歴史を知る上で欠かせない存在です。

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