紀元前356年

紀元前356年は、古代世界において重要な転換期を迎えた年として記録されています。この年、ローマ暦が用いられ、干支は乙丑にあたります。日本では孝安天皇が在位37年目を迎え、中国では周の顕王が13年、秦の孝公が6年、斉の威王が元年を迎えるなど、各王朝や国で異なる紀年法が用いられていました。

ギリシア

この年、ギリシアでは重要な出来事が複数発生しました。最も注目すべきは、アレクサンドロス3世、後のアレクサンドロス大王がマケドニア王ピリッポス2世の子として誕生したことです。彼の誕生は、その後の歴史を大きく変えることになります。また、エフェソスのアルテミス神殿がヘロストラトスによって放火され、彼は死刑となりました。この事件は、歴史に名を残したいという人間の欲望がいかに恐ろしい結果を招くかを示唆しています。ピリッポス2世はクリニデスを征服し、フィリッポイと改名しました。これは、マケドニアの勢力拡大の一環であり、ギリシア世界におけるマケドニアのプレゼンスを強める出来事でした。

中国

中国では、秦の孝公が商鞅を左庶長に任命し、変法を実行させました。これが第一次変法として知られ、秦の国力強化に大きく貢献しました。斉では威王が即墨大夫を万家に封じる一方、阿大夫の汚職を厳しく処断しました。この粛清は、斉国内の政治風土を引き締め、国家の安定に繋がりました。また、趙と燕が阿で、趙と斉と宋が平陸で会合しました。さらに、魯、衛、宋、韓の国君が魏の恵王に朝見するなど、各国間での外交も活発に行われました。

その他

この年には、アレクサンドロス3世、レオンナトス、ヘファイスティオン、恵文王といった歴史に名を残す人物が誕生しました。一方で、カブリアスやヘロストラトスが亡くなっています。特にヘロストラトスの死は、その動機と結果が人々に大きな教訓を与えました。

この紀元前356年を振り返ると、古代世界における政治、軍事、文化、そして個人の行動が複雑に絡み合い、歴史が形作られていく過程が理解できます。アレクサンドロス大王の誕生は、その後の歴史を大きく動かし、ヘロストラトスの放火事件は、後世にまで語り継がれる出来事となりました。各国の内政と外交も活発であり、その後の歴史に大きな影響を与える年であったと言えるでしょう。

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