アルトクラリネット

アルトクラリネットは、クラリネットの仲間で、ソプラノクラリネットとバスクラリネットの中間的なサイズを持つ楽器です。一般的には「A.Cl」や「アルトクラ」と略されます。まれに「アルクラ」と呼ばれることもあります。

アルトクラリネットは、変ホ調（E♭）の移調楽器として知られていますが、バセットホルンの代用としてヘ調（F）の楽器も存在します。この楽器は、19世紀初頭にI.ミュラーやH.グレンザーによって発明され、その後アドルフ・サックスによって改良されました。その外観は、ソプラノクラリネットと同様のグラナディラ製（またはプラスチック製）の直管と、バスクラリネットのような金属製の曲がったネックとベルが特徴的です。キーシステムは、低音のミ♭（E♭）キーが追加されている以外はソプラノクラリネットとほぼ同じで、基本的な運指も共通しています。

演奏においては、ソプラノクラリネットよりも指の間隔が広く、バスクラリネットよりもさらに広いため、演奏難易度が高いとされています。また、管の長さに対して内径が狭いため、音を「鳴らす」のが難しいとされていますが、この特性がアルトクラリネット独特の柔らかく繊細な音色を生み出しています。近年では楽器の改良が進み、熟練した奏者はその魅力を最大限に引き出すことができるようになりました。

アルトクラリネットは、オーケストラではあまり使用されませんが、吹奏楽やクラリネットアンサンブルでは重要な役割を担っています。吹奏楽における主な役割は以下の3つです。

バスクラリネットなどと共にベースラインを形成する
テナーサックスやユーフォニアムなどと対旋律を演奏する
* 中低音域を形成し、サウンドに深みを与える

吹奏楽ではソロの機会は少ないですが、クラリネットアンサンブルでは、その独特な音色からソロ楽器として使われることがあります。1950年代以降、その扱いやすさには議論がありましたが、その独特な音響効果を評価する声も多く、現在では大編成の吹奏楽において標準的な楽器の一つとなっています。特に日本では、アルトクラリネットを専門に演奏する奏者を擁するプロ吹奏楽団も存在します。

また、ハミット・ブルーイット、ヴィニー・ゴリア、ジョー・ロヴァーノなど、一部のジャズミュージシャンもアルトクラリネットを使用しており、その独特な音色をジャズの演奏に取り入れています。

関連する楽器としては、木管楽器、クラリネット、移調楽器などが挙げられます。

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