アルトランシュテット条約 (1707年)

アルトランシュテット条約

アルトランシュテット条約（Altranstädter Konvention）は、1707年8月31日に神聖ローマ皇帝ヨーゼフ1世とスウェーデン王カール12世との間で締結された重要な契約です。この条約は主にシュレージエン地方におけるプロテスタントの権利を定め、宗教的緊張が高まる中での合意を図るものでした。

背景

16世紀から続く宗教改革の影響はシュレージエンに深く根付いており、18世紀初頭には地域住民の多くがプロテスタント信者でした。しかし、ハプスブルク家の皇帝による対抗宗教改革が進められ、特に上シュレージエンではその影響が強まりました。1730年代の時点で、シュレージエンの住民の約半数がカトリック信徒であり、数多くの教会がプロテスタントからローマ・カトリックに改宗されました。原則として1648年のヴェストファーレン条約によっては、ブジェク公国やオレシニツァ公国などのプロテスタントはわずかに保護されていましたが、それも次第に制約されていきました。

1675年以降、対抗宗教改革から免れたのはヴロツワフとオレシニツァだけであり、スウェーデンおよび神聖ローマ帝国のプロテスタント諸侯からの異議申し立てにもかかわらず、数少ないプロテスタント教会は次々と閉鎖される道を辿りました。大北方戦争が勃発した頃には、カール12世が指揮するスウェーデン軍がシュレージエンを占領。これによって、選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世との間に締結されたアルトランシュテット条約が生まれました。

条約の内容

カール12世はザクセン領のアルトランシュテットに滞在中、ヨーゼフ1世との交渉を行い、この条約が成立。内容としては、いくつかの教会がプロテスタントに返還され、6か所の新たな慈悲の教会の建設が許可されました。その地域はザーガン、ヒルシュベルク、ミリチュ、テッシェン、フライシュタット、ランデスフートと名付けられ、さらに125の教会がプロテスタントに戻されました。

また、条約によりヨーゼフ1世は、さらなる対抗宗教改革を進めないことを約束し、プロテスタントの教会法廷も正式に認められることで、シュレージエンにおけるルター派教会の地位は安定しました。この契約は1707年の初めに交渉が行われ、双方にとって有益な結果となるよう配慮されました。

実際、ヨーゼフ1世の譲歩は、カール12世がフランス側でのスペイン継承戦争に参戦しないよう促すためのものであり、条約で合意された内容以外では引き続き厳格なカトリック政策を推進しました。

1742年にシュレージエンがプロイセン王国の領土に加わると、今度はプロイセン政府がプロテスタントであったため、ローマ・カトリック側に関する権利と資産が保障される方向に進むことになります。こうした歴史的な変遷から、アルトランシュテット条約はシュレージエン地域における宗教の在り方に大きな影響を与えました。

おわりに

アルトランシュテット条約は、シュレージエンの宗教的状況を安定させ、一定の平和をもたらした重要な合意です。宗教改革から続く対抗宗教改革の中で、プロテスタントとカトリックの関係が如何にして変化していったのかを理解する上でも、この条約の意義は大いにあります。

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