アルノルド派

アルノルド派：12世紀イタリアにおける宗教改革運動

アルノルド派は、12世紀にイタリアで発生した宗教改革運動の一派であり、その中心人物はアルノルド・ダ・ブレシアでした。この運動は、当時のカトリック教会のあり方に対する根本的な疑問と批判から生まれました。

アルノルド・ダ・ブレシアの登場と教会の批判

アルノルド・ダ・ブレシアは、カトリック教会が莫大な財産を所有していることに対して強い不満を抱いていました。彼は、教会の権威が世俗的な富によって堕落していると考え、その清貧を訴えました。アルノルドは、反洗礼・反聖餐の立場を取り、これらの儀式が教会によって歪められていると主張しました。彼の説教は、当時の人々に大きな影響を与え、多くの支持者を集めました。

ローマでの一時的な政権樹立

1145年、アルノルドは教皇不在のローマで政治的な主導権を握り、元老院政治を復活させようと試みました。これは、教会権力に対する明確な挑戦であり、ローマ市民の間で大きな反響を呼びました。しかし、この政権は長くは続かず、最終的には皇帝フリードリヒ1世の軍によって鎮圧されることになります。

異端認定と悲劇的な結末

1155年、アルノルドは皇帝フリードリヒ1世の軍に捕らえられ、火あぶりの刑に処されました。彼の死は、アルノルド派の運動に大きな打撃を与えました。その後、1184年に教皇ルキウス3世はヴェローナ宗教会議において教皇勅書アド・アボレンダムを発し、アルノルドとその弟子たちを異端と認定しました。この勅書は、アルノルド派の教えを公式に否定し、その活動を禁じるものでした。

アルノルド派の影響と関連運動

アルノルド派の運動は、その後の宗教改革運動に大きな影響を与えました。彼らの教会批判と清貧の訴えは、後のロラード派やヴァルド派などの宗教改革運動にも受け継がれていきました。アルノルド派の活動は、中世の教会に対する批判的な視点を提供し、宗教改革の歴史において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

参考文献

Lambert, Malcolm (1977). Medieval Heresy: Popular Movements from Bogomil to Hus. Edward Arnold Publishers Ltd
Russell, Jeffrey Burton (1992). Dissent and Order in the Middle Ages: The Search for Legitimate Authority. Wipf & Stock publishers

関連項目

教会の清貧
ロラード派
* ヴァルド派

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