アルバトロス D.III

アルバトロス D.III（Albatros D.III）は、第一次世界大戦の際にドイツ帝国軍及びオーストリア＝ハンガリー帝国軍によって複葉戦闘機として運用されました。この機体は特に著名な撃墜王たちによって使用され、1917年の航空優勢を獲得した「血の4月」で重要な役割を果たしました。

設計と開発

D.IIIの試作は1916年の夏、あるいは初秋に始まり、初飛行は同年の8月あるいは9月とされています。これまでの成功したバージョンであるD.IおよびD.IIと同様に、D.IIIは合板製のセミモノコック構造を採用しましたが、主翼のデザインはフランスのニューポール 11からの影響を受け、特殊な一葉半形式となりました。この設計の変更により、下翼の翼弦が減少し、上翼が拡大されるという特長が現れました。これはイギリスのパイロットによって「V支柱」とも呼ばれました。

1916年9月26日の公式試験後、アルバトロス社は400機のD.IIIを生産する契約を締結、1917年2月と3月にも追加発注が行われました。

運用歴

D.IIIは1916年末に実戦投入され、その操縦のしやすさや上昇能力から瞬時に多くのパイロットの高評価を受けました。ただし、製造初期にはいくつかの欠陥も明らかになりました。一つは、上翼の中央に配置されたラジエターの位置に関わるもので、被弾した際にパイロットが火傷を負う危険がありました。これに対応する形で290号機以降、ラジエターは右側に移設されました。

また、下翼のリブと翼前縁に関しては、1917年1月に発生した破損事例により、全機の飛行が禁止される事態に至りました。その後、補強が施された新型のD.IIIが出荷されるも、戦闘機隊はその期間、他機種を使用することを余儀なくされました。

とはいえ、D.IIIは操縦がやや重いものの、運転は比較的容易で快適であったとされています。さらに、上昇力や運動性能の面でも改善が見られ、パイロットの視界も広がりました。生産には約500機が製作され、1917年にはOstdeutsche Albatros Werke（OAW）社に生産が移転されました。OAW製のD.IIIは、スタイルに少々変更が加えられ、識別が容易となりました。

D.IIIの配備はピークを迎え、446機が西部戦線に展開していましたが、1918年8月にはまだ54機が現役でした。

オーストリア＝ハンガリー製のアルバトロス

1916年秋、オーストリアのエスターライヒッシェ・フルークツォイクファブリクがD.IIIのライセンス生産を開始し、初の生産機は1917年5月に姿を現しました。これらの機体はそれぞれ異なるエンジンを搭載し、冬季戦闘向けに特別設計されたカウリングが施されました。

Oeffag製の各型式は信頼性が高く、性能も優れたものでしたが、武装においてはシュヴァルツローゼ機関銃の不具合が指摘されました。これに対し、後期モデルでは機銃の配置が変更され、さらに翼の強度が高められるなど、われわれが知っているD.IIIの改良が施されました。

大戦後の運用

第一次世界大戦が終結した後、ポーランドやチェコスロバキアなどがD.IIIを引き継ぎ、実戦での運用が続けられました。特にポーランドでは、地上攻撃を主な目的として使われましたが、D.IIIはその高い性能により高い評価を受けました。

現代の複製機

現在、オーストリアのコロマン・マイアホーファーが製作したD.IIIの複製機が存在し、1機は飛行可能な状態で、もう1機は博物館に展示されています。これにより、アルバトロス D.IIIの歴史と技術が次世代に引き継がれています。

性能諸元（D.III）

- 乗員: 1
- 全長: 7.33m
- 全高: 2.90m
- 翼幅: 9.00m
- 翼面積: 23.6m²
- 空虚重量: 695kg
- 運用時重量: 886kg
- 最大離陸重量: 955kg
- 動力: メルツェデスD.IIIa 水冷エンジン（170 hp）×1
- 最大速度: 175 km/h
- 航続距離: 480 km
- 実用上昇限度: 5,500m
- 武装: 7.92mm LMG 08/15 機関銃×2

運用者

- オーストリア＝ハンガリー帝国
- ドイツ帝国
- ポーランド（戦後）
- チェコスロバキア（戦後）
- リトアニア（戦後）

もう一度検索