ニューポール 11

ニューポール11（Nieuport 11）

ニューポール11は、第一次世界大戦中にフランスの設計者ギュスターヴ・ドラージュによって設計され、ニューポール社によって生産された単座戦闘機です。この機体は1915年にドイツの優れた単葉戦闘機フォッカー・アインデッカーに対抗するために登場し、その性能により「フォッカーの懲罰」と称されるドイツの空中戦術に大きな変化をもたらしました。愛称は「ベベ（Bébé）」で親しまれ、著名なフランスの撃墜王たちがこの機体を駆ったことでも知られています。

設計と開発

ニューポール11は、元々のニューポール10を基本にした改良型であり、その設計は単座型戦闘機として特化しています。機体の特長には、一葉半（セスキプラン）という特徴的な翼形があり、下翼が相対的に小さいため、複葉と単葉の中間的な性能を持っています。この機体は80馬力の同社製ノーム・エ・ロームエンジンを搭載し、小型ながらも高い機動性を発揮しました。

ただし、この設計には一定の懸念がありました。翼の構造上、強い力がかかると下翼がねじれやすく、堅牢な作りにしなければならないという問題がありました。これは、同じくV型支持を持つ他のニューポール機や、ドイツのアルバトロス D.IIIにも共通する課題でした。

ニューポール11は、フランスの航空部隊を始め、イギリス海軍航空隊、オランダ、ベルギー、ロシア、イタリアに供給され、特にイタリアでは646機がライセンス生産されました。短い実戦期間を経て、以降のニューポール製機種の先駆けとされ、ニューポール17、24bis、27といった後継機に繋がる基盤が築かれました。

運用歴

ニューポール11は1916年1月にフランスの前線で任務を開始し、その月中に90機が配備されました。この機体の軽量デザインは、戦場においてフォッカー単葉戦闘機に対し、圧倒的な優位性を示しました。特筆すべきは、横操縦のための補助翼が装備されている点で、フォッカー機の古い構造と対照的でした。また、ニューポール11の昇降舵は、従来型の水平尾翼に取り付けられていたため、より精度の高い操縦が可能でした。

フォッカー機の成功要因の一つには、プロペラと機関銃の同調発射能力がありますが、ニューポール11も上翼に装備されたルイス機関銃またはホチキス機関銃によって、同様の効果を得ることに成功しました。この機体は1916年のヴェルダンの戦闘でドイツ軍に大きな損害を与え、戦術の転換を余儀なくさせました。

一部のニューポール11は、観測気球や飛行船に対抗するため、ル・プリエールロケットを装備する改良が施されました。1916年3月には、ニューポール11はその後の改良型ニューポール17に置き換えられ、フランス軍飛行隊は1917年の初頭にSPAD S.VIIに更新されました。

派生型

ニューポール11の改良版として、ニューポール16が1916年に登場しました。こちらはエンジンをル・ローヌ9Jの110馬力に変更し、外観的にも「馬蹄形」カウリングに改良が加えられました。しかし、エンジンの重量増加により操縦性が損なわれる問題も出てきました。この問題に対処する形で、次に開発されたニューポール17は、最初から重いエンジンを装備することを前提に設計され、性能向上が実現されました。

力強い運用者たち

ニューポール11は、フランスやイギリスだけでなく、イタリア王国、ウクライナ、オランダ、セルビア、タイ、チェコスロバキア、ベルギー、ルーマニア王国、ロシアなど多くの国々で運用されました。これにより国際的な航空戦術に大きな影響を与えた機体と言えるでしょう。

性能諸元

• - 乗員: 1
• - 全長: 5.8 m
• - 全高: 2.4 m
• - 翼幅: 7.55 m
• - 空虚重量: 344 kg
• - 最大離陸重量: 550 kg
• - 最大速度: 156 km/h
• - 航続距離: 330 km
• - 武装: ホチキス機関銃またはルイス機関銃、ル・プリエールロケットはオプション

このようにニューポール11は、その革新性と戦場での実績によって、戦闘機の歴史に確固たる地位を築いた名機であります。

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