アルバロ・コロン

アルバロ・コロン・カバジェロス：グアテマラの元大統領

アルバロ・コロン・カバジェロス（Álvaro Colom Caballeros、1951年6月15日 - 2023年1月23日）は、グアテマラの政治家であり、2008年から2012年まで同国の大統領を務めました。彼は、1954年のCIA主導のクーデター以降、約半世紀ぶりの左派大統領として知られています。

経歴

コロンはグアテマラシティで生まれ、サンカルロス大学で産業工学を学びました。彼の叔父であるマヌエル・コロン・アルゲタは著名な左派政治家であり、グアテマラシティ市長を務めましたが、1979年に軍部によって暗殺されました。

大学卒業後、コロンは織物業界で実業家として活動し、グアテマラ輸出業者協会の理事も務めました。1991年には経済省次官に任命され、同年設立された国家和平基金（FONAPAZ）の初代総裁として、内戦被害者の支援に尽力しました。特に、約4万人の亡命者（主にマヤ先住民）の帰還支援に貢献し、その功績からマヤの聖職者としての栄誉を受けました。

1999年の大統領選挙には、かつてのゲリラ組織であるグアテマラ国民革命連合（URNG）から出馬しましたが、3位に終わりました。2001年には中道左派の国民希望党（UNE）を設立し、2003年の大統領選挙にUNEから出馬しましたが、決選投票でオスカル・ベルシェに敗れました。

大統領としての活動

2007年の大統領選挙で、コロンは再び国民希望党から出馬し、右派の愛国党（PP）の候補であった元将軍オットー・ペレス・モリーナを破って当選しました。グアテマラシティでは人気が低かったものの、地方での強い支持が勝因となりました。2008年1月14日に大統領に就任したコロンは、関係省庁間の調整を行う社会連帯審議会を発足させ、大統領夫人であるサンドラ・トーレスを会長に任命し、彼女に大きな権力を与えました。

社会民主主義者と見なされていたコロンは、貧困問題の改善に期待されていましたが、就任直後に世界金融危機が発生し、最大の輸出先である米国への輸出が減少しました。さらに、2010年にはパカヤ火山の噴火と熱帯暴風雨アガサによる災害に見舞われ、グアテマラは大きな損害を受けました。

治安対策においては、犯罪組織の強大化と治安・司法制度の弱体化が深刻化し、特に麻薬密売関連の犯罪が増加しました。2010年12月には、アルタ・ベラパス県で活動する麻薬組織ロス・セタスを壊滅させるため、1ヶ月間の戒厳令を宣言しました。

夫人のサンドラ・トーレスは2011年の大統領選挙に出馬を試みましたが、グアテマラ憲法の規定により、現職大統領の親族の立候補が禁止されていたため、コロンと離婚しました。しかし、憲法裁判所は彼女の立候補を認めませんでした。選挙では、麻薬カルテルなどの組織犯罪との戦いを公約に掲げたペレス・モリーナが当選し、2012年1月14日に次期大統領に就任しました。

ローゼンバーグ事件

2009年5月10日、弁護士のロドリーゴ・ローゼンバーグがグアテマラシティで射殺される事件が発生しました。ローゼンバーグは生前にビデオを残しており、その中で、汚職を告発されることを恐れた政府によって、コロン大統領夫妻の承認のもとで自分が殺されるだろうと主張していました。このビデオは彼の死後公開され、大きなスキャンダルとなりました。しかし、グアテマラ無処罰問題対策国際委員会（CICIG）の調査により、暗殺者はローゼンバーグ自身が雇ったものであり、政府を批判するためにビデオを残した後、故意に殺害されたという結論に至りました。

逮捕と死去

2018年2月13日、グアテマラ無処罰問題対策国際委員会（CICIG）は、グアテマラシティの市営バスであるトランスウルバーノへのプリペイドシステム導入に関する不正入札事件に関連して、コロンおよび元閣僚らを逮捕しました。その後、自宅軟禁中の2023年1月23日に、食道がんのため71歳で死去しました。

家庭

コロンは二度の結婚を経験しています。最初の妻であるパトリシア・サラタは1977年に交通事故で亡くなりました。2番目の妻であるサンドラ・トーレスとは2002年に結婚しましたが、2011年に離婚しました。最初の妻との間には、パトリシアとアントニオの2人の子供がおり、アントニオはグアテマラのロックグループ、ビエント・エン・コントラのベーシストとして活動しています。サンドラとの間には、ディエゴという子供がいます。

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