ロス・セタス

ロス・セタス (Los Zetas)

ロス・セタスは、メキシコの麻薬カルテルであり、組織の歴史は元メキシコ陸軍の特殊部隊隊長アルトゥーロ・グスマン・デセナ（通称：Z-1）によって1999年に設立されました。元々はガルフ・カルテルに雇われていた彼の私兵部隊が独立し、メキシコで最も危険な犯罪組織へと成長しました。アメリカ政府からもその危険性が警告されています。

組織の起源

ロス・セタスの形成は、ガルフ・カルテルのリーダーであるオシエル・カルデナスとアルトゥーロ・グスマン・デセナとの協力によって始まりました。特殊部隊出身の精鋭メンバーが多数在籍し、高度な軍事トレーニングを受けています。これにより、彼らは麻薬密売の保護だけでなく、拷問や暗殺といった非道な手段も用いるようになりました。

2003年にはシナロア・カルテルとの壮絶な抗争が勃発し、多くの命が奪われる結果となりました。ロス・セタスは農村部を含む幅広い地域で勢力を拡大し、シナロア・カルテルに対抗する力を持つまでになりました。

分裂と内紛

2010年にはガルフ・カルテルからの分離が正式に起こり、その後も数々の内紛や抗争が続発します。特に、ロス・セタス内でも指導者の不満が噴出し、組織全体が分裂する危機に直面しました。これにより、各地での抗争や敵対組織との衝突が激化し、メキシコ国内の麻薬戦争がさらに過酷な状況に至りました。

ロス・セタスの手法

このカルテルの特徴は、その残虐性にあります。被害者に対して厳しい拷問を行い、その様子を公表して恐怖を煽るなど、他のカルテルと一線を画しています。特に、斬首や皮剥ぎといった凶悪な手法は、彼らの名を不気味に広める要因となっています。また、正規軍や警察の汚職により自らの権力を確保しているため、各地域の治安は悪化の一途をたどっています。

現在の状況

2010年代にはハリスコ新世代カルテルとの衝突が増え、時には協力関係を築くこともありました。その中でもロス・セタスは進化し続け、組織内の女性の活躍も目立っています。特に、パンテラス・女性部隊は特殊任務を担い、軍や法執行機関への浸透を図っています。

タマウリパス州はロス・セタスの活動の中心地であり、ここでの政治腐敗や麻薬密売の蔓延は、州を「破綻した州」とさせる要因となっています。組織が強化される一方で、警察の汚職や刑務所からの大量脱獄事件もこの地域で発生しており、不安定な状況が続いています。

結論

ロス・セタスは、メキシコにおける犯罪組織の一大勢力であり、その存在は麻薬戦争をさらに複雑にしています。彼らの活動は国内外に影響を及ぼし、メキシコ政府の対応も批評されることが多く、今なお厳しい状況が続いています。組織の勢力は衰えるどころか、様々な形で変化し続け、全く新しい状況を生み出しています。

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