パカヤ

パカヤ火山 (Pacaya)

パカヤ火山は、グアテマラの首都グアテマラシティから南へ約30kmに位置する、アンデス山岩や玄武岩で構成された複合式火山です。中央アメリカの中でも特に活動が活発な火山として知られています。

火山の特徴

パカヤ火山の最初の噴火は約2万3000年前と推定されています。スペイン植民地時代の1565年以降、少なくとも23回の噴火記録が残っており、その活動の歴史の長さが伺えます。主な噴火形式は比較的穏やかなストロンボリ式ですが、時には激しいプリニー式噴火を起こし、遠く離れたグアテマラシティにまで火山灰が降り注ぐことがあります。

活動の歴史

パカヤ火山は、環太平洋造山帯の一部である中央アメリカ火山弧に位置しています。この地域では約30万年前から大規模な噴火活動が繰り返され、巨大なカルデラが形成されました。このカルデラは後にアマティトラン湖となります。約2万3000年前の最後のカルデラ噴火後、複数の後カルデラ火山が形成され、その中でも最も大きな山体がパカヤ火山です。

約1100年前には大規模な山体崩壊が発生し、太平洋側に大量の土砂が流れ込みました。この崩壊によって馬蹄形の火口が形成され、現在の山頂は、その火口内に形成された新しい中央火口丘となっています。

近年の噴火活動

現在もほぼ毎日のように噴火を繰り返すパカヤ火山は、観光名所としても人気があります。しかし、その一方で、周辺地域に被害をもたらすこともあります。1998年には、高さ1500〜5000mの噴煙が上がり、火山灰や溶岩が噴出しました。2006年には、山腹から溶岩流が流れ出しました。

2010年5月の噴火

2010年5月27日、パカヤ火山は大規模な噴火を起こしました。噴火から20時間後にはさらに激しい噴火が発生し、火山岩や火山灰が高さ1500mにまで立ち上りました。この噴火により、火山の北西に位置するグアテマラシティやラ・アウロラ国際空港を含む多くの市街地で火山灰が降りました。

グアテマラ国家災害対策調整委員会 (CONRED) は、周辺地域に非常警報を発令し、避難を勧告しました。しかし、噴火を最初に報告したNoti7のレポーター、Anibal Archila氏が火山岩によって亡くなりました。アルバロ・コロン大統領は、火山周辺地域に災害の国家宣言を発令し、教育省はグアテマラ県、エスクィントラ県、サカテペケス県の学校を閉鎖しました。

また、同時期に発生した熱帯暴風雨アガサによる豪雨により、緊急事態はさらに悪化しました。火山泥流（ラハール）や地すべりが発生し、国内各地で大規模な洪水が発生しました。しかし、コーヒー豆栽培に携わる人々にとっては、この嵐による雨が木に積もった火山灰を洗い流してくれたため、良い影響もあったとされています。

まとめ

パカヤ火山は、その美しい景観と活発な火山活動で多くの人々を魅了する一方で、噴火による災害の危険性も抱えています。今後の活動状況に注視し、適切な防災対策を講じることが重要です。

参考文献

『世界の火山百科図鑑』 マウロ・ロッシ著、日本火山の会訳、柊風舎、2008年

関連項目

中央アメリカ火山弧

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