アルバン・バトラー

アルバン・バトラー（Alban Butler, 1710年10月13日 - 1773年5月15日）は、イギリスのカトリック司祭、神学者、そして聖人伝の執筆者として知られています。彼の生涯は信仰と学問に捧げられ、特に『聖人伝』の完成は、彼の最大の功績として高く評価されています。

生涯

1710年、アルバン・バトラーはノーサンプトンシャー州アップルツリーで、サイモン・バトラーの次男として生まれました。8歳で孤児となった彼は、フランスのドゥエー神学校に送られ、そこで教育を受けることになります。1735年に司祭に叙階された後、ドゥエー神学校で哲学と神学の教授として教鞭を執りました。

ドゥエー滞在中、バトラーは彼の代表作となる『The Lives of the Fathers, Martyrs and Other Principal Saints』（聖なる父、殉教者、その他の主要な聖人たちの生涯）の執筆を開始しました。また、リチャード・シャロナー司教がエリザベス1世統治下の殉教者について記した『Memoirs of Missionary Priests』（宣教師司祭の回顧録）のために、研究資料を提供するなど、学術的な協力も行っています。

1745年、バトラーはフォントノワの戦いで負傷したイギリス兵への献身的な活動が認められ、カンバーランド公に気に入られるようになりました。その後、カンバーランド公の子息であるジョージ・タルボット（第4代シュールズベリー伯爵）とその兄弟ジェームズ・タルボット、トマス・タルボットの家庭教師として、グランドツアーに同行しました。この兄弟のうち、ジェームズとトマスは後にカトリック司教となっています。

帰国後、バトラーはしばらくの間、ミッドランド地区で宣教司祭として活動しました。1749年には、ノーフォーク公に招かれて専属司祭となり、ノーフォーク公の後継者であるエドワード・ハワードがパリへ行く際には、家庭教師として随行しました。パリ滞在中、バトラーは長年取り組んでいた『The Lives of the Saints』（聖人伝）を完成させました。

1766年、バトラーはフランスのサントメール神学校の校長に任命され、神学校の運営に尽力しました。校長を務める傍ら、サントメール、イーペルの教区司祭、そしてブローニュ＝シュル＝メールでは司教総代理としても活動しました。1773年5月15日、サントメールで死去し、サン・ドニ教区教会に埋葬されました。

The Lives of Saints (聖人伝)

バトラーの最大の功績として挙げられるのは、30年におよぶ学問研究の成果である『The Lives of Saints』です。初版は4巻構成で、1756年から1759年にかけてロンドンで出版されました。この作品は、バトラーの勤勉さと深い学識の結晶であり、最高の『聖人行伝』の概論として高く評価されています。出版後、何度も版を重ね、様々な言語に翻訳され、世界中で読まれるようになりました。

『The Lives of Saints』には、日付順に1,600人以上の聖人伝が収録されており、キリスト教の聖人に関する貴重な情報源となっています。

外部リンク

アルバン・バトラーの作品 （インターフェイスは英語）- プロジェクト・グーテンベルク
アルバン・バトラーの著作 - LibriVox（パブリックドメインオーディオブック）
"The Lives of the Fathers, Martyrs, and Other Principal Saints", Complete text of the 12 vol. ed. of 1866 at Bartleby.com
One modern abridged Concise Edition is: ISBN 0-06-069299-5

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