アルファロメオ・スパイダー

アルファロメオ・スパイダー：イタリアン・ロードスターの系譜

アルファロメオ・スパイダーは、イタリアの自動車メーカー、アルファロメオが1966年から2010年にかけて製造したオープンカーです。美しいデザインとスポーティな走りで知られ、特に初代モデルは、映画『卒業』でダスティン・ホフマンが運転したことで世界的に有名になりました。

初代スパイダー (1966年 - 1993年): ジュリアをベースにしたロングセラー

初代スパイダーは、アルファロメオ・ジュリアのシャシーをベースに、カロッツェリア・ピニンファリーナがデザインを担当しました。1966年のジュネーブモーターショーでデビューした「1600スパイダー・デュエット」は、1.6リッターエンジンを搭載し、洗練されたスタイリングが特徴でした。その後、排気量やエンジン出力の異なる数々のバリエーションが登場。1750スパイダー・ヴェローチェ、1300スパイダー・ジュニア、2000スパイダー・ヴェローチェなど、それぞれのモデルが時代のトレンドや市場のニーズに対応しながら進化を遂げていきました。

1970年にはマイナーチェンジを行い、ボディ後端を直線的なカムテールに変更。トランクスペースの拡大やフロントデザインの変更、インテリアの改良などが施され、より快適なモデルに生まれ変わりました。1974年には一時的に、ルーフの一部が脱着可能なタルガトップモデルも生産されました。また、1974年以降のモデルには、アメリカ合衆国への輸出に合わせて大型のバンパーが装備され、排気ガス規制に対応したエンジンに変更されたため、性能が若干低下しました。

1983年には、フロントグリルと一体化した大型バンパーや、リアスポイラー一体型の大型リアバンパー、大型テールランプ、一新されたダッシュボードなどの変更を施す大幅なマイナーチェンジが行われ、車名はシンプルに「アルファロメオ・スパイダー」に変更されました。その後もマイナーチェンジを繰り返し、1990年には、燃料噴射エンジンやパワーステアリング、運転席エアバッグなどの装備が追加。1993年まで製造された初代スパイダーは、約27年に渡り愛され続けるロングセラーモデルとなりました。

2代目スパイダー (1994年 - 2006年): 前輪駆動プラットフォームへの移行

2代目スパイダーは、フィアット・ティーポと同じ「ティーポ2」プラットフォームを採用し、横置きエンジンの前輪駆動方式へと変更されました。デザインはピニンファリーナが担当し、より現代的なスタイリングとなりました。

3代目スパイダー (2006年 - 2010年): ブレラとの共通点

3代目スパイダーは、アルファロメオ・ブレラのオープンモデルとして登場しました。ブレラと同様に、ジョルジェット・ジウジアーロのデザインをベースに、アルファロメオとピニンファリーナが共同で開発。V6エンジン搭載モデルには、Q4と呼ばれるフルタイム四輪駆動システムが採用され、高い走行性能を実現しました。

日本におけるアルファロメオ・スパイダー

日本においても、アルファロメオ・スパイダーは、伊藤忠オート、日英自動車、大沢商会といった輸入代理店を通じて販売されてきました。1980年代半ばには一時的に正規輸入が途絶えた時期もありましたが、並行輸入などで根強い人気を保ちました。現在もアルファロメオジャパンが正規輸入販売を行っています。

まとめ

アルファロメオ・スパイダーは、美しいデザインとスポーティな走り、そして長い歴史を持つ魅力的なロードスターです。3世代にわたるモデルチェンジを経て、時代に合わせて進化を遂げながら、常に高い人気を誇ってきました。映画『卒業』への出演など、その歴史と魅力は多くの人々に語り継がれています。

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