アルファロメオ・164

アルファロメオ 164：イタリアンエレガンスと高性能の融合

1987年から1998年にかけて、アルファロメオは同社のフラグシップモデルとして164を世に送り出しました。このセダンは、その洗練されたデザインと、幅広いバリエーション、そしてアルファロメオならではのドライビングプレジャーを融合させたモデルとして、高い評価を得ています。

誕生と開発：ティーポ4プロジェクト

164の開発は、アルファロメオがフィアットグループ傘下となった後、フィアット、ランチア、サーブとの共同プロジェクト「ティーポ4プロジェクト」として進められました。当初は後輪駆動を予定していましたが、アルファロメオの経営状況を鑑みて前輪駆動に変更され、ランチア・テーマ、サーブ・9000、フィアット・クロマといった姉妹車が登場することとなりました。

著名なデザインハウス、ピニンファリーナ（デザインはエンリコ・フミア）が手がけたスタイリングは、1988年にはトリノ・ピエモンテデザイン賞を受賞するなど、高く評価されています。その優雅さとスポーティさを兼ね備えたデザインは、現在でも多くのファンを魅了し続けています。

モデルバリエーション：多様なニーズに対応

164は、その販売期間中に幾度かのマイナーチェンジを受け、様々なグレードが展開されました。初期型と後期型に大別され、エンジン、装備、そして駆動方式においても選択肢が豊富でした。

エンジン

エンジンラインナップは、直列4気筒、V型6気筒、そしてディーゼルエンジンと多岐に渡りました。特に、3リットルV型6気筒エンジンは、アルファロメオ伝統のオールアルミ製エンジンであり、後のモデルにも受け継がれる、信頼性とスムーズな回転フィールを両立した名機として知られています。

クアドリフォリオ（QV）

164シリーズには、高性能モデルである「クアドリフォリオ・ヴェルデ（QV）」も存在しました。ハイカムシャフトなどのチューニングにより、標準モデルよりもパワーアップしたエンジンを搭載し、専用のエアロパーツやレカロシートなどの装備により、スポーティな走りを追求したモデルとなっています。

Q4：四輪駆動システムの採用

164 Q4は、ビスコマティックと呼ばれるフルタイム四輪駆動システムを搭載したモデルです。ゲトラグ社製の6速MTと組み合わせ、悪天候時でも安定した走りを提供しました。

その他モデル

この他にも、1992年のマイナーチェンジでは、ボディ剛性の強化や、24バルブDOHCエンジンの搭載など、安全性と性能の向上が図られました。また、日本市場では、3リットルV型6気筒エンジン搭載のモデルが主に販売され、ATモデルの他、右ハンドル仕様も存在していました。

レーシングカー：164 プロカー4

164をベースとしたレーシングカー「164 プロカー4」も開発されました。これはFISAが計画していた「新プロカー選手権」参戦を目指し、アバルトやMRD（Motor Racing Developments Ltd）が製作したマシンです。3.5リットルV型10気筒エンジンを搭載したミッドシップレイアウトと、徹底的に軽量化されたボディを持つ、まさに純粋なレーシングマシンでした。

日本市場での展開

日本市場では、1989年4月に3.0リットルV型6気筒エンジン搭載モデルが発売されました。左ハンドルに加え、ATモデルは右ハンドル仕様も販売されていました。また、日本仕様車では、フロントウィンカーランプの大型化やピニンファリーナバッジの変更などが施されていました。

終焉とその後

1998年、約10年に及ぶ販売期間を経て、164の生産は終了しました。累計生産台数は約27万台に達し、アルファロメオのフラグシップモデルとして、その存在感を示しました。後継モデルとなる166へとバトンは繋げられましたが、164はアルファロメオの歴史に燦然と輝くモデルとして、多くの人々の記憶に刻まれています。

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