アルフォンソ1世 (アラゴン王)

アルフォンソ1世：武人王として名を馳せたアラゴンの英雄

アルフォンソ1世（1073/1074年 - 1134年）は、12世紀初頭にアラゴンとナバラを統治した王です。父サンチョ・ラミレスの後を継ぎ、兄ペドロ1世の死後、王位を継承しました。彼はレコンキスタ（国土回復運動）の時代に、イスラム勢力との戦いで数々の勝利を収め、「武人王（El Batallador）」としてその名を歴史に刻みました。

生涯と業績

1104年、兄の跡を継いで王となったアルフォンソ1世は、領土拡大を目指し、エブロ川流域への進出を企図します。サラゴサとレリダの攻略を目標に定め、1107年にはレリダ近郊を攻撃、サラゴサ南方のベルチテやモレーリャなどの町を攻略し、サラゴサとの連絡を遮断しました。そして1117年、サラゴサの包囲を開始します。

翌1118年、ローマ教皇ゲラシウス2世が呼びかけた十字軍がイベリア半島に南下すると、アルフォンソ1世はこれを迎え入れ、サラゴサを降伏させました。1120年にもアキテーヌ公ギヨーム9世率いる十字軍を迎え、サラゴサ南西に進軍。ハロン川流域のカラタユーを包囲し、ムラービト朝の援軍を破り、カラタユーを征服。ハロン川流域の他の都市も制圧し、南へと領土を拡大しました。

カスティーリャとの関係

1109年、アルフォンソ1世はカスティーリャ女王ウラカと結婚しますが、この結婚はカスティーリャ貴族の反発を招き、内乱のきっかけとなります。二人の仲も悪く、1111年には離婚。子を儲けることはありませんでした。その後、カスティーリャに対し戦争を仕掛け、カラオラ、タラソナなどカスティーリャ東部の街を占拠し、アラゴンの威信を高めます。

アンダルシア遠征

ムラービト朝の権威が揺らぐと、アルフォンソ1世はモサラベ（イスラム教国に住むキリスト教徒）の蜂起に応じ、1125年にアンダルシアへの長距離遠征を敢行。バレンシアやムルシアなどを略奪し、グラナダにまで到達しました。モサラベの蜂起は起こりませんでしたが、1万人のモサラベを連れ帰り、エブロ川流域に定住させました。この遠征は、アルフォンソ1世の名声を高めることとなりました。

都市政策とムデハルへの対応

征服活動の傍ら、アルフォンソ1世は都市政策にも注力しました。サラゴサなど、アラゴンが占領した都市に留まるムデハル（キリスト教国に住むイスラム教徒）に対し、生活と財産を保障し、退去も残留も自由としました。残留するムデハルには、市外居住という条件付きながら居住を許可し、キリスト教徒と差別しない寛大な処置をとりました。また、プエンテ・ラ・レイナにフエロ（特権）を発布し、自治都市の形成を促しました。

その後

1127年以降、カスティーリャ王アルフォンソ7世の反撃を受け、領土を一部失いますが、1133年にはメキネンサを攻略し、東への進出を図ります。しかし1134年、フラガ包囲中にバレンシア総督の待ち伏せに遭い重傷を負い、9月8日に死去しました。

アルフォンソ1世は、王国をテンプル騎士団などの諸騎士団に遺贈する遺言状を作成しましたが、アラゴン貴族はこれに反対。弟ラミロ2世を王位に就けました。ナバラにおいては、ガルシア6世が王位に就き、アラゴンとナバラの同君連合は解消されました。

アルフォンソ1世の治世は、レコンキスタの進展とアラゴンの勢力拡大に大きく貢献しました。その軍事的な才能と都市政策の手腕は、後世に高く評価されています。

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