アルフレド・アングロ

メキシコ合衆国バハ・カリフォルニア州メヒカリ出身の元プロボクサー、アルフレド・アングロ（Alfredo Angulo）は、1982年8月11日生まれ。ニックネームは「エル・ペロ（El Perro）」。攻撃的なファイトスタイルで知られ、元WBO世界スーパーウェルター級暫定王座を獲得した実績を持つ。

生い立ちとボクシングの始まり

アングロは幼い頃に父を亡くすという経験をしている。ボクシングとの出会いは意外なものだった。当初は退屈しのぎにボクシングジムの門を叩いたが、そこで驚異的な才能を見せる。わずか1ヶ月で実戦デビューを果たし、1年半後にはオリンピック代表に選出されるという驚異的なスピードで頭角を現した。アマチュア時代には、2004年のアテネオリンピックアメリカ大陸予選ミドル級に出場。準決勝で後の世界王者ジャン・パスカルを破るも、決勝でアンドレ・ディレルに敗れた。同年夏のアテネオリンピック本戦では、ミドル級メキシコ代表として出場したが、1回戦でアイルランドのアンディ・リーに敗退している。

プロキャリアと暫定王座獲得

2005年1月6日、アングロはアメリカ合衆国でプロボクサーとしての第一歩を踏み出した。キャリアを順調に重ね、2008年5月17日にはWBOインターコンチネンタルスーパーウェルター級王座決定戦に出場。リチャード・グティエレスを5回TKOで下し、プロ初タイトルを獲得した。

プロデビュー以来無敗（15戦全勝）の快進撃を続けていたアングロは、2009年5月30日、WBC世界スーパーウェルター級王座挑戦者決定戦で強豪カーミット・シントロンと対戦。しかし、この試合で0-3の判定負けを喫し、プロ初黒星を記録した。

失意から立ち直り、同年11月7日にはWBO世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦に臨み、ハリージョー・ヨルギイを3回KOで撃破。暫定ながら世界王座を手にした。2010年4月24日にはジョエル・フリオを11回TKOで退け、暫定王座の初防衛に成功した。

その後、暫定王座は返上したものの、2010年7月17日にはジョアシャン・アルシーヌとのWBCアメリカ大陸スーパーウェルター級王座決定戦及びWBC世界挑戦者決定戦に臨み、初回TKO勝利を収め、同王座と世界挑戦権を獲得した。

激闘とキャリアの起伏

2011年2月、WBCコンチネンタルスーパーウェルター級王座を返上。同年8月11日、自身の誕生日にオスカー・デ・ラ・ホーヤ率いるゴールデンボーイ・プロモーションズとの契約を発表した。契約後の初戦となる8月20日には、返上したWBCコンチネンタル王座を再び獲得するためジョセフ・ゴメスと決定戦を行い、初回KOで同王座の再獲得に成功した。しかし、その初防衛戦となった2011年11月5日のジェームス・カークランド戦では、激しい打ち合いの末に6回TKO負けを喫し、王座を失った。

2012年後半にはリングに復帰し、再起戦を勝利で飾るなど再浮上を目指した。

キャリアの大きな転換点となったのは、2013年6月8日のエリスランディ・ララ戦である。WBA世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦として行われたこの試合は壮絶な内容となった。アングロは序盤こそララの巧みなフットワークに苦しんだが、中盤には左フックで2度のダウンを奪うなど試合を有利に進めた。スコア上は僅差でララがリードしていたものの、アングロのダウン奪取により勝敗の行方は不透明であった。しかし、激しい攻防のダメージによりアングロの左目は大きく腫れ上がり、10回、アングロがトレーナーに異変を伝えようとコーナーの方へ振り返った際に、レフェリーが突如試合をストップ。アングロはTKO負けを喫し、王座獲得はならなかった。試合後、アングロは意図的に試合を放棄したわけではなく、サミングによる目の負傷を訴えようとしたと主張したが、視界不良によるダメージが主因であったとする見方が一般的である。また、アングロ陣営はララのグローブに不正があったと訴えたが、調査の結果、不正は確認されなかった。

続く2014年3月8日には、人気スターのサウル・アルバレスと対戦。この試合はスーパーウェルター級の上限を1ポンド上回る155ポンドのキャッチウェイトで行われた。試合は序盤からアルバレスが優位に進め、10回にレフェリーが試合をストップしアングロのTKO負けとなった。一方的な展開ではあったが、アングロにダウンがなく、試合終了まで残り2ラウンドであったことから、このストップは早計ではないかとの声が上がり、観客からは大きなブーイングが起こった。

2014年9月13日にはジェームズ・デ・ラ・ロサと162ポンドのキャッチウェイトで対戦したが、2回にダウンを奪われ、10回判定負け。格下と目されていた相手に敗れ、痛い3連敗を喫した。

2015年1月9日、ゴールデンボーイ・プロモーションズからプロモート権を破棄され、同プロモーションを離脱。その後、アル・ヘイモンに近いTGBプロモーションズと契約を交わした。

キャリア終盤にはセルヒオ・モラとの対戦（2018年）などを行ったが、判定負けを喫している。

獲得タイトル

WBOインターコンチネンタルスーパーウェルター級王座（防衛0＝返上）
WBO世界スーパーウェルター級暫定王座（防衛1＝返上）
WBCコンチネンタルスーパーウェルター級王座（防衛0＝返上）
WBCアメリカ大陸スーパーウェルター級王座（防衛0）

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