アルプスマーモット

アルプスマーモット (Marmota marmota)

アルプスマーモットは、哺乳類の一種で、ネズミ目（齧歯目）リス科に属する大型のマーモットです。その生息地域は主にヨーロッパの中央部および南部の高山地帯に広がり、具体的にはフランス、イタリア、スイス、ドイツ、スロベニア、オーストリアなどが含まれます。また、アルプス山脈だけでなく、ピレネー山脈や中央高地、ジュラ山脈、ヴォージュ山脈、シュヴァルツヴァルト、アペニン山脈、タトラ山脈、カルパティア山脈でも見ることができます。

特にピレネー山脈では、かつて一時的に絶滅したものの、1948年に再導入され、現在では定着しています。

形態

アルプスマーモットは、体長が42センチメートルから54センチメートル、尾の長さが13センチメートルから16センチメートルほどです。春の体重は2.8キログラムから3.3キログラムですが、秋には5.5キログラムから7.5キログラムまで増加します。冬眠から目覚めた春には、体重が著しく軽くなるのが特徴です。この種はしばしばリス科としては最大のものとされますが、近縁のシラガマーモットがそれ以上の体重を持つ場合もあります。

毛色は多様で、暗褐色や淡灰色、赤褐色などが見られます。その手足には大きな鉤爪があり、土を掘るために非常に適していますが、親指はあまり発達していません。

生態

アルプスマーモットは標高800メートルから3,200メートルの高山地帯、高山ツンドラや高地の牧草地に生息します。巣穴は沖積層や岩だらけの土地に掘られ、個体数は豊富です。カルパティア山脈では約1,500頭と推定されています。彼らは集団を形成し、2頭から50頭以上が一緒に生活します。日中は日光浴や体を冷やす姿が見られ、これは寄生虫対策と考えられています。

食性は主に植物食で、イネ科の草やハーブ、そのほか種子や昆虫、クモ、イモムシも食べます。食事は主に朝と午後、気温の低い時間帯に行われ、適度な気候の日には大量の食物を摂取します。土を掘る際には前足と後足の両方を使い、巣穴は干し草や植物の茎などで裏打ちされています。近くにある巣穴の中にはトイレとして使用される行き止まりのトンネルもあります。

繁殖

アルプスマーモットの繁殖期は冬眠から目覚めた春に始まり、子どもたちに冬を生き延びるための最も良い機会を与えます。2歳で性成熟し、妊娠期間は約33日で、1回の出産で1から7頭の子どもを産みます。子どもたちは生後40日で離乳し、その後自分で食物を探すようになります。夏の終わりには大人と同じ体毛になり、2年以内に大きさも大人と同じになります。

冬眠

アルプスマーモットは冬の準備として古い茎を集め、巣穴に積み重ねます。冬眠期間中は心拍数や呼吸が大幅に低下し、体温も周囲の温度に近づきます。この過程は体脂肪をゆっくり消費するための重要な戦略です。

人間との関わり

歴史的には、マーモットの脂肪がリウマチの治療に効果があると信じられていたため、広範囲に渡って捕獲されました。現在もスポーツとして狩猟が行われていますが、繁殖速度が遅いため、個体数に影響を及ぼしています。絶滅の危険性はないものの、特定の地域では絶滅危惧種となっている場合があります。

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