ツンドラ

ツンドラの概要

ツンドラは冷涼な気候で、主にシベリア北部や北極海沿岸に見られる地域を指します。この地帯は永遠の凍土によって支えられていますが、全てが凍結しているわけではありません。暖かい夏になると、表層の土壌が融け、コケ植物や草本類、さらには小さな灌木が生育することができます。近年では、地球温暖化の影響を受けて、その面積が徐々に縮小しているとの報告もあります。

ツンドラは、地球上で唯一人間が居住できる寒帯地域です。ここでは、トナカイの遊牧（特にチェコト族など）、狩猟、海洋漁業、鉱業などが行われています。自然地理学的には、ツンドラは低温のために植物の生長可能期間が短く、樹木が育ちづらい地域として認識されています。実際、「ツンドラ」という言葉は、木のない平原を表すサーミ語に由来しています。主に草本や蘚類、地衣類などが生息しており、南極、北極、高山という3つの主要なタイプに分けられます。

ツンドラの種類

北極ツンドラ

北極ツンドラは、北半球の極北、すなわちタイガ帯の北側に位置します。一般的には、永久凍土が存在する地域がツンドラと呼ばれ、木が生えない場合も多いです。この地帯はロシアやカナダ北部に広がっており、ここに住む遊牧民族（ガナサン人、ネネツ人、サーミ人など）はトナカイを飼い、生活しています。北極ツンドラの生物多様性は比較的低く、特定の種の個体数は多いですが、種類全体の数は少ないのが特徴です。主な陸生哺乳類にはトナカイ、ヘラジカ、ホッキョクグマ、オオヤマネコなどが含まれます。

南極ツンドラ

南極ツンドラは南極大陸や南ジョージア島、南サンドイッチ諸島などに存在します。南極大陸は非常に寒冷で乾燥しているため、植物の生育はほとんど見られません。しかし一部で土壌が存在し、そこには約250種の地衣類や100種の蘚類が生息しています。南極ツンドラでは、大型の陸生動物は存在せず、主にアザラシやペンギンなどの海洋動物が海岸周辺に生息しています。また、南極の動植物は南極条約でその保護が図られています。

高山ツンドラ

高山ツンドラは、標高が十分に高い地域に存在し、緯度にかかわらず見られます。この地帯も樹木は育たず、その土壌は一般に水はけが良いです。高山ツンドラの特徴は、標高が下がるにつれて森林限界線に沿った森林地帯に移行することです。ここに生息する動物には、ミヤマオウムやマーモットが含まれます。特に日本の北海道、大雪山周辺でもナキウサギなどの高山動物が見られます。

ツンドラと環境問題

最近の地球温暖化は、ツンドラにとって大きな脅威となっており、永久凍土の融解が進むことで生態系全体が脅かされています。凍土が完全に崩壊すれば、そこに生息する動植物の存続が危うくなります。さらには、土壌から放出される炭素の量が増加し、温暖化を一層悪化させる要因ともなっています。かつては炭素の取り込み場所であったツンドラは、今やその供給源となってしまっています。

このように、ツンドラは独特の生態系と環境問題を抱える地域で、それに伴う多くの課題が存在しています。

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