アルプス社

株式会社アルプス社の歴史と事業内容

株式会社アルプス社は、1936年に名古屋市で創立した地図に関する企画制作・販売を行う企業です。設立当初から、個人向け地図「アトラスRD」シリーズやPC向け地図ソフト「プロアトラス」シリーズなどを市場に提供してきました。その結果、同社は2000年時点で国内第3位の地図出版社に成長しました。特に、1984年に創刊された「アトラスRD」は、1997年には350万部を突破するなど、高い人気を誇る製品となりました。

民事再生法の適用とヤフーへの買収

しかし、2000年代に入るとカーナビゲーションの普及が影響し、アルプス社の出版物の売り上げは急激に減少します。さらには、電子地図データの開発に必要な設備投資も負担となり、2004年12月10日には民事再生法の適用を申請せざるを得なくなりました。この際に、負債総額は約25億円に達していました。

その後、同年12月13日にはヤフーがアルプス社への支援を表明し、事業の継承を行うことで合意に至りました。実は、アルプス社の社外取締役であるニコラス・ベネシュは2000年頃からヤフーに買収を提案していましたが、当時はアルプス社が提案を拒み続けていました。しかし、売り上げの低下により資金繰りが厳しくなった同社は、ついにヤフーに買収を打診しました。その結果、ヤフーはアルプス社の資産と人材をわずか0円で手に入れることになるのです。

アルプス社の事業

アルプス社は、地図データや地域情報コンテンツの整備、販売を行っていた他、道路地図をはじめとする各種地図の企画・制作・出版を手掛けていました。また、コンシューマ向けの電子地図ソフトやGIS（地理情報システム）関連のソフトウェア、ツールの開発・販売を行い、さらにGIS関連ソリューションサービスの提供も行っていました。

さらに、アルプス社は米国のMapInfo社製品の販売代理店としての役割も果たしていました。

代表的な製品

電子地図ソフト

• - プロアトラスシリーズ : 1996年に発売され、PC向け地図ソフトとして人気を集めました。2007年にはヤフー傘下のクレオと業務提携が発表され、以降クレオに移管されることとなりました。

地図出版物

• - ビジネス愛知88 : 愛知県内の市区町村を収録した道路地図。市区町村別に編集され、主要部には拡大図も用意されていました。
• - 愛知県交通規制道路地図 : 愛知県警によって全面監修された、交通規制情報を含む道路地図です。
• - アトラスRD : 1984年に創刊され、アルプス社の主軸的な製品として広く知られました。
• - アトラスRDX : 2003年に創刊され、以降継続的に発行されましたが、2011年に最終版が発行されるまでに様々な地域版がリリースされました。

結論

最後に、アルプス社はその後もヤフー内で地図サービスを続けており、「Yahoo!地図」や「Yahoo!カーナビ」などは、アルプス社時代からのスタッフによって開発されています。また、同社の地図データは2011年にOpenStreetMapに寄贈され、多くのユーザーに活用されていることも注目されます。アルプス社の遺産は、現在も地図・ナビゲーション技術の発展に寄与しています。

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