アルプ＝マリティーム県

アルプ＝マリティーム県

アルプ＝マリティーム県（Alpes-Maritimes）は、フランスの南東部、プロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏の一部です。この県の東側はイタリアとの国境を接しており、その名は古代ローマの属州「アルペス・マリティマエ」に由来しています。

歴史

この県は1793年に最初に設立され、1814年まで存在しました。設立当初のアルプ＝マリティーム県は主にニース伯領から成り立っており、当時モナコの領土を含んでいました。ニース伯領はサルデーニャ王国からフランスに編入されたもので、1814年には再びサルデーニャに返還され、モナコも独立を果たしました。しかし、1860年にサルデーニャ王国がニース伯領を放棄したことで、アルプ＝マリティーム県は再びフランスの一部となりました。さらに、1947年のパリ条約の結果、タンドやラ・ブリクを含む一部地域が県に併合されました。

地理と気候

この県は北方にヴァール県とアルプ＝ド＝オート＝プロヴァンス県が接し、南部は地中海に面しています。特に海岸沿いはコート・ダジュールとして知られ、多くの観光客が訪れる地域です。県内は山がちで、特にアルプス山脈の南部に位置します。最高地点はシム・デュ・ジェラス山で、高さ3143mです。

気候については、海岸部は地中海性気候であり、春や秋に降水が多く、冬は温暖です。北部は一部が山岳気候で、冬が早く訪れ、夏には豪雨が時折発生します。県内の年間日照時間は非常に長く、約300日です。

統計と人口

アルプ＝マリティーム県には163のコミューンが存在しており、そのうちの106コミューンの人口は2000人に満たない小規模です。2011年のデータによると、新生児の約39.5%が少なくとも1人の親が外国籍であり、15.4%は北アフリカからの移民の子供です。

郡とコミューン

県内には2つの主要な郡があり、それぞれの郡は小郡やコミューンで構成されています。グラース郡には19の小郡、ニース郡には33の小郡があるなど、県内のコミューンは多岐にわたります。グラース郡には62のコミューン、ニース郡には101のコミューンが存在しています。

経済

経済は主に第三次産業に依存しており、観光業が重要な収入源です。特にリゾート地としての地位を確立しており、ニースはフランスで2番目に多くホテルがある都市です。この地域は温暖な気候に恵まれており、観光シーズンは通年にわたります。具体的には、カンヌやアンティーブなどの海水浴場が人気で、年間多くの観光客が訪れます。さらに、香水製造業や先端技術産業も強い影響力を持っており、グラースを中心に盛んです。

観光業は県の経済の中心で、働く人の約64000人がこの業界に従事しています。特にニースは観光ビジネスが非常に活発で、フランスの全観光市場の約12%から13%を占めています。県内にはコート・ダジュール空港もあり、国内外の多くの旅行者に利用されています。

文化

文化面ではカンヌ国際映画祭やニース・ジャズ・フェスティバルなど、さまざまなイベントが年間を通じて開催されており、地域の魅力を高めています。また、ニースのカルナヴァルは観光名物として知られています。

このように、アルプ＝マリティーム県は豊かな自然、活気ある経済、魅力的な文化で成り立つ地域です。観光とインフラ整備の発展により、今後も多くの訪問者を引き寄せることでしょう。

もう一度検索