アルミランテ・ラトーレ級戦艦

アルミランテ・ラトーレ級戦艦について

アルミランテ・ラトーレ級戦艦は、チリ政府がイギリスのアームストロング・ホイットワース社に発注した超弩級戦艦であり、第一次世界大戦前の南米国家間の艦艇競争の一環である。この級には、1番艦のアルミランテ・ラトーレ（元々はリベルタ、後にバルパライソに改名）と2番艦のアルミランテ・コクレーンが含まれる。1911年に発注されたが、当時の国際情勢の変化により、特に第一次世界大戦が勃発する頃には艦艇の運命が大きく変わることとなった。

1番艦アルミランテ・ラトーレの歴史

アルミランテ・ラトーレは1911年11月に起工し、1914年2月に進水したが、完成を待たずにイギリス政府に売却されてカナダ（HMS Canada）として1915年に就役することになった。この艦はグランドフリートに所属し、著名なユトランド沖海戦にも参加する。戦後、1919年にイギリスからチリに売却され、アルミランテ・ラトーレとして再び艦籍に入る。近代化改装を経て、1958年まで現役を維持し、最終的には解体された。

2番艦アルミランテ・コクレーンの運命

一方、アルミランテ・コクレーンは1913年に起工されるが、こちらも未完成の状態でイギリス海軍に譲渡され、最終的には航空母艦イーグル（HMS Eagle）へと改装される。これは、第一次世界大戦終了後も英海軍に在籍し、航空戦力の一環として活動を続けた。しかし、1942年には地中海での戦闘でUボートの攻撃を受け沈没する運命を辿る。

艦艇の設計と特徴

アルミランテ・ラトーレ級の設計は、イギリスのアイアン・デューク級の影響を受け、短船首楼型船体が特徴的である。艦首には連装式の35.6㎝主砲が搭載され、艦載艇の運用を考慮した設計も随所に見られる。艦の近代化改装においては、対空火器の強化や防御力の向上が行われ、水中防御のためのバルジも追加された。

技術仕様

主砲の性能は高く、719kgの弾頭を持ち、射程22,130mを実現した。一方、副砲には15.2㎝速射砲が採用され、航空機攻撃への対抗手段として高角砲も装備されていた。防御は弩級戦艦としてはやや薄く設計されているものの、主砲塔の装甲厚は強化されるなど、時代の変化に合わせた改修が行われた。

南米建艦競争の一端として

アルミランテ・ラトーレ級戦艦の建造は、南米における海軍力の拡大をめぐる競争を象徴するものであり、チリ海軍の持つ超弩級戦艦が戦後の南米における軍事バランスに影響を与えたことは重要である。特に、同級艦の存在がアルゼンチンやブラジルの艦艇開発に影響を与え、南米各国間の緊張関係にも一因となった。

結論

アルミランテ・ラトーレ級戦艦の歴史は、国際情勢の影響を受ける中での艦艇の運命を物語っている。大戦や技術改良の過程を経て、数十年にわたってその存在感を示したこの級は、南米海軍史にも重要な位置を占めている。

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