アルメニア共和国軍

アルメニア共和国軍

アルメニア共和国軍は、アルメニア共和国の国防を担う国軍です。ソビエト連邦時代に内務省の武装組織を母体とし、旧ソ連軍のザカフカーズ軍管区の装備を引き継ぎました。1990年代初頭のソ連崩壊に伴い、独立国家として正式に軍隊が組織されました。

歴史

ソ連末期

アルメニア共和国軍の創設は、ソ連崩壊以前の1990年代初頭に始まりました。当時、アゼルバイジャンとの国境紛争やナゴルノ・カラバフ自治州を巡る緊張が高まる中、議会議長と首相は事態を収拾するための一連の措置に着手しました。その一つとして、1990年にアルメニア内務省特殊連隊が編成され、アゼルバイジャンとの国境では義勇兵が戦闘に参加しました。また、アルメニア政府の下には特別国防委員会が設置され、国内軍連隊や特別任務民警支隊などを統制し、国境地帯やナゴルノ・カラバフでの戦闘を支援しました。

共和国軍の建軍

ソ連崩壊後、独立したアルメニアでは国防省が設置され、初代国防相には元議会国防・安全保障委員会委員長が就任しました。アルメニアは、独立国家共同体（CIS）やロシア連邦との交渉の結果、1992年夏に旧ソ連軍の自動車化狙撃師団の装備を譲渡されました。ただし、欧州通常戦力条約に基づき、保有できる兵器の数には制限が設けられました。ナゴルノ・カラバフでの敗北後、国防相は辞任し、後任として元首相が国防相に就任しました。彼の指導の下、アルメニア軍の本格的な建設が始まりました。特に、軍事ドクトリンの基盤は、元ソ連軍陸軍参謀次長によって構築されました。

軍の改革

1992年から1993年にかけて、独立自動車化狙撃旅団が創設され、契約制で兵員が充足されました。この旅団には、各地の防衛部隊が編入されました。職業軍人部隊の創設後、アルメニア軍は、新兵の戦闘投入を最小限に抑え、国内の安定化を図りました。1993年春以降、徴兵計画が定期的に実施されています。

アルメニア軍は、国土が小さいことを考慮し、旧ソ連軍の多段階展開システムを廃止し、機動力と機動性を重視した1,500～2,500人規模の自動車化狙撃旅団を作戦単位としました。また、ナゴルノ・カラバフを実効支配するアルツァフ共和国の国防軍とは、人事交流を積極的に行っています。

組織

アルメニア共和国軍は、陸軍、空軍、防空軍の三軍で構成されています。

陸軍
空軍
防空軍

これらの軍は、国防省と参謀本部の統制下に置かれています。

階級

アルメニア共和国軍では、徴兵制と志願制が採用されています。徴兵された者は18ヶ月間、現役勤務を行い、契約締結者は3年から15年勤務します。

2008年時点での動員能力は約3万2千人、兵役対象者は約35万人とされています。

教育制度

ソ連崩壊時、アルメニアには高等軍事教育施設が存在しませんでした。旧ソ連軍には多数のアルメニア人将校がいましたが、帰国したのはごく一部でした。将校不足は、予備役や退役者の現役復帰で補われました。その後、1993年から1994年にかけて、軍事幼年学校、飛行技術学校、年次将校課程、高等多兵科軍事大学などの教育制度が整備されました。さらに、ロシアやギリシャの高等軍事教育機関でも将校が育成されています。

準軍隊

アルメニアには、準軍隊組織も存在します。

外部リンク

アルメニア共和国国防省公式サイト (アルメニア語) / (ロシア語) / (英語)

もう一度検索