アル・アットルス

アル・アットルス：ウォリアーズを支えた伝説

アル・アットルス（Al Attles、1936年11月7日 - 2024年8月20日）は、アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューアーク出身の元バスケットボール選手であり、名指導者です。彼は、選手、そしてコーチとして、フィラデルフィア時代から数えて23年もの長きにわたりゴールデンステート・ウォリアーズを支え続けました。特に1975年には、ヘッドコーチとしてウォリアーズをNBAチャンピオンに導いた功績は特筆に値します。彼の背番号『16』は、ウォリアーズの永久欠番として、その偉大な貢献を今に伝える象徴となっています。

選手としてのキャリア

1960年のNBAドラフトでフィラデルフィア・ウォリアーズから指名を受けたアットルスでしたが、当時は全体39位という決して高くはない評価での入団でした。しかし、彼はロールプレイヤーとして、ウィルト・チェンバレン、ポール・アリジン、トム・メシェリー、ネイト・サーモンド、リック・バリー、ジェフ・マリンズといった、次々と入れ替わる主力選手たちの中で、11シーズンもの間ウォリアーズでプレイし続けました。

1963-64シーズンには、チームがサンフランシスコに拠点を移した後、プレーオフを勝ち抜きNBAファイナルに進出。しかし、ファイナルではウォリアーズにとって長年の宿敵であるボストン・セルティックスに惜しくも敗れました。その後、チェンバレンがチームを去り、サーモンドやバリーらがチームの中心選手となった1966-67シーズンにも再びファイナルに進出しましたが、今度はチェンバレン率いるフィラデルフィア・76ersに敗北し、念願の優勝には手が届きませんでした。

1969-70シーズンからは、選手兼任のままウォリアーズのヘッドコーチに就任。その後、コーチ業に専念するため、1970-71シーズンを最後に現役を引退しました。NBA通算成績は、11シーズン711試合に出場、6,328得点、2,483アシスト、平均8.9得点、3.5アシストという記録を残しています。

コーチとしての輝かしい功績

1967年のファイナル進出以降、成績が下降気味だったウォリアーズでしたが、アットルスがヘッドコーチに就任したことでチームの成績は徐々に持ち直し、プレーオフの常連チームとして安定した勝率を残すようになりました。しかし、ファイナル進出にはなかなか手が届かない状況が続いていました。

転機となったのは1974-75シーズン。サーモンドを放出したことで、ウォリアーズは苦戦を強いられるだろうという予想が大半でしたが、予想を覆す健闘を見せ、プレーオフを勝ち進み、見事ファイナルに進出しました。ワシントン・ブレッツとのファイナルは、アットルスとK.C.ジョーンズという、アメリカプロスポーツ史上初の黒人ヘッドコーチ同士の対決としても注目を集めました。ウォリアーズは4戦全勝でブレッツを破り、見事優勝を果たし、アットルスはビル・ラッセルに次いで史上2番目の優勝チームの黒人ヘッドコーチという偉業を達成しました。

その後も、アットルスは1982-83シーズンまでウォリアーズの指揮を執り続けましたが、コーチキャリアの後半は不振のシーズンが続き、最後の6シーズンはプレーオフに進出することができませんでした。

コーチ通算成績は、14シーズン1,075試合、557勝518敗、勝率.518。プレーオフ進出は6回、優勝は1回という記録を残しました。

2024年8月20日、アットルスは87歳でその生涯を閉じました。

アル・アットルスは、選手として、そしてコーチとして、ゴールデンステート・ウォリアーズの歴史に名を刻んだ、まさに伝説的な存在と言えるでしょう。

もう一度検索