アレオス

アレオス（古希: Ἄλεος, Aleos）は、古代ギリシアの神話世界において、アルカディアー地方の有力な都市であったテゲアーを統治した王として知られています。

彼の家系をたどると、アルカディアーの名の由来ともなった英雄アルカスの息子アペイダースを父に持ち、ステネボイアという名の兄弟がいました。アレオスはペレウスの娘ネアイラを妻に迎え、彼女との間に複数の子をもうけました。娘としては後に数奇な運命をたどるアウゲーが、息子としてはケーペウスとリュクールゴスが記録されています。また、系譜によってはアムピダマースも彼の子とされる場合があります。

王としての業績の一つに、テゲアーにおける重要な聖域であるアテーナー・アレアー神殿の創建が挙げられます。この神殿は都市の守護女神アテーナーを祀るものであり、アレオスの名が冠されています。彼の娘アウゲーも、この神殿において女神に仕える女神官としての務めを果たしていました。

しかし、この神聖な場所を巡って悲劇的な出来事が起こります。ある時、テゲアーの地に原因不明の飢饉が襲い、作物が実らなくなってしまいました。王が神託を求めると、この異変はアテーナーの聖域内で冒涜的な行為が行われたことに起因すると告げられます。

アレオス王が神域を調査した結果、驚くべき真実が明らかになりました。他ならぬ娘アウゲーが、聖域の清浄を破り、密かに赤子を産み落として隠していたのです。アウゲーはかつてヘーラクレースから暴行を受け、その結果この子を身ごもっていたのでした。生まれた赤子は、後にミュシアの王となるテーレポスです。

神域での涜神という重大な事態に直面したアレオスは、厳しい決断を下します。彼は生まれたばかりの孫テーレポスをパルテニオン山中に捨てるよう命じ、娘アウゲーについては、彼女をアルゴスのナウプリオスに引き渡し、遠い異国に売り払うよう依頼しました。神の怒りを鎮め、国の危機を回避するための非情な措置でした。

幸いなことに、山に捨てられたテーレポスは無事に育ち、またナウプリオスによって遠くミュシアの地へ送られたアウゲーも、そこの王テウトラースの保護を受け、彼の妻もしくは養女となりました。そして時を経て、テーレポスはミュシアにおいて母アウゲーと感動的な再会を果たしたと伝えられています。

このようにアレオスは、都市の王として聖域を守護する責任と、娘の犯した行為に対する苦悩の間で、厳しい選択を迫られた人物として、ギリシア神話にその名を留めています。彼の物語は、神意と人間の運命、そして家族間の悲劇を描き出しています。

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