アレクサンドル・ゴドゥノフ

アレクサンドル・ボリソヴィチ・ゴドゥノフ（1949年11月28日 - 1995年5月18日）は、旧ソ連出身のバレエダンサー、そして俳優としても活躍した人物です。191cmという恵まれた体格を生かし、ボリショイ・バレエ団のスターとして一世を風靡しました。後にアメリカへ亡命し、1987年に帰化しています。アレクサンダー・ゴドノフと表記されることもあります。

生い立ちとバレエへの道

ゴドゥノフはソ連のサハリンで生まれ、9歳の時にラトビア国立バレエ学校の特待生に選ばれ、バレエの道へ進みました。17歳でモスクワ青年バレエ団に入団し、その後、1971年にボリショイ・バレエ団へ移籍しました。

ボリショイ・バレエ団での活躍

ボリショイ・バレエ団でのデビューは、『白鳥の湖』第1幕のパ・ド・トロワでした。同年、グリゴローヴィッチ版『白鳥の湖』で主役のジークフリート王子を演じ、そのマイムによる感情表現は批評家から高く評価されました。1972年には、マイヤ・プリセツカヤ振付の『アンナ・カレーニナ』でヴロンスキー役に抜擢され、プリマであるプリセツカヤのパートナーとして、『白鳥の湖』、『病める薔薇』、『カルメン組曲』などで共演しました。1973年にはモスクワ国際バレエコンクールで金賞を受賞し、1976年にはロシア共和国功労芸術家の称号を得ています。

アメリカへの亡命

1979年8月、ボリショイ・バレエ団のニューヨーク公演中にアメリカへ亡命しました。この亡命は国際的な注目を集め、アメリカ大統領とソ連書記長の対立にまで発展しました。ゴドゥノフの亡命を知ったソ連は、妻リュドミラ・ウラソワを帰国させようとしましたが、アメリカ国務省が彼女の意思を確認したため、アエロフロート機が2日間ケネディ空港に留め置かれるという事態になりました。ウラソワは最終的にモスクワへ帰国し、二人が再会することは叶いませんでした。

アメリカでの活動と俳優への転身

ゴドゥノフは同年12月にアメリカン・バレエ・シアターに入団しましたが、高額な年俸が他の団員の反発を招き、不穏なスタートとなりました。1982年には、芸術監督ミハイル・バリシニコフとの対立から退団し、同年、別居状態だった妻との離婚が成立しました。その後、自身のバレエ団を率いてツアーを行っていましたが、1985年には俳優へと転身しました。

俳優としての代表作には、『刑事ジョン・ブック/目撃者』や『ダイ・ハード』などがあります。彼はロシア人役を演じることを嫌い、多くの出演依頼を断っていたとされています。

突然の死

1995年5月、ゴドゥノフはハリウッドの自宅で死亡しているのが発見されました。検死の結果、外傷や薬物の痕跡は確認されず、当初は自然死とされました。しかし、その後の発表で、死因は肝炎を併発した急性アルコール中毒とされています。享年45歳。彼の遺灰は太平洋に撒かれました。

映像記録

* ボリショイ・バレエ団 『カルメン組曲』（1978年）YouTubeで視聴可能。カルメン役はマイヤ・プリセツカヤ。

映画出演

もう一度検索