アレクセイ・サヴラソフ

アレクセイ・コンドラーティエヴィチ・サヴラソフ（1830年5月24日 - 1897年10月8日）は、ロシアの風景画家であり、叙情的な風景画の創始者として美術史に名を刻んでいます。「サヴラソフ」は「サフラソフ」とも表記されます。

生涯

サヴラソフは商人の家庭に生まれ、幼少期から絵画に才能を発揮しました。1838年、モスクワ絵画彫刻建築学校（MSPSA）に入学し、カルル・ラブスに師事しました。1850年に同校を卒業後、風景画家としての道を歩み始めます。

1852年にはウクライナへ赴き、1854年には帝国芸術アカデミー総裁であった大公女マリア・ニコラエヴナの招きで、ペテルブルク近郊に移住します。1857年、MSPSAの教員となり、イサーク・レヴィタンやコンスタンチン・コローヴィンといった優秀な弟子たちを育てました。彼らはサヴラソフを敬愛し、その教えに深く感謝していたと伝えられています。

同じく1857年、美術史家カルル・ヘルツの姉妹であるソフィア・カルロヴナ・ヘルツと結婚し、夫妻の邸宅は美術コレクターや芸術家たちの交流の場となりました。特に、ヴァシリー・ペロフとは親交が深く、サヴラソフの作品『ユリエヴェツ近郊のヴォルガ川』ではペロフが艀曳きの人々を描き、ペロフの作品『鳥捕りと野営地の猟師たち』ではサヴラソフが風景を描くなど、共同制作も行っています。

1860年代には、万国博覧会を視察するためにイングランドを訪れ、その後スイスへも足を運びました。サヴラソフは手紙の中で、「万国博覧会ほど芸術家を進歩させるものはない」と述べています。この旅で、ジョン・コンスタブルやアレクサンドル・カラムといった画家たちの影響を受けました。

サヴラソフの代表作として知られる『ミヤマガラスの飛来』（1871年）は、多くの批評家から彼の最高傑作と評されています。ごくありふれた日常の風景を、冬から春への移ろいとともに感情豊かに描き出したこの作品は、叙情的な風景画という新たな様式を確立し、後に「ムードランドスケープ」と呼ばれるようになりました。この作品によって、サヴラソフの名声は不動のものとなります。

1870年には、国家の後援を受けるアカデミックな美術に反発する移動派の一員となり、新たな芸術運動を牽引しました。

しかし、1870年代頃からサヴラソフはアルコールに溺れるようになります。娘の死がきっかけだったとも言われており、この出来事は彼の芸術活動に大きな影を落としました。1882年にはMSPSAを解雇され、親族や友人たちの助けも虚しく、晩年は貧困の中で過ごしました。作品の質も徐々に低下し、酔っ払った状態で粗末な服を身につけ、各地の保護施設を転々とする日々を送りました。1897年、彼の葬儀に参列したのは、トレチャコフ美術館の創設者パーヴェル・トレチャコフとMSPSAの門衛のみでした。

主な作品

『ミヤマガラスの飛来』(1871年)
『ユリエヴェツ近郊のヴォルガ川』

脚注

Faina Sergeyevna Maltseva, Alexei Kondratyevich Savrasov, Leningrad, 1989, ISBN 5-7370-0175-X

外部リンク

Savrasov's works at Olga's Gallery (英語)
* Savrasov's biography (ロシア語)

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