アレチヌスビトハギ

アレチヌスビトハギ（荒れ地盗人萩）

特徴

アレチヌスビトハギ（Desmodium paniculatum）は、北アメリカ原産の帰化[[植物]]で、マメ科シバハギ属に分類される多年草です。草丈は50cmから100cm程度まで成長し、茎は直立または斜め上に伸び、全体に開いた毛が生えています。葉は互い違いに生え、3枚の小葉からなる複葉です。頂小葉は狭い卵形、卵形、または狭長楕円形で、長さ4cmから10cm、幅1cmから3cm程度です。先端は尖っており、縁は滑らかで、基部は鈍角になっています。側小葉は左右非対称で、頂小葉よりも小さいのが特徴です。葉の両面には伏した柔らかい毛が生えており、裏面は特に毛が多くて色が薄くなっています。葉柄は2cmから5cmの長さで、基部には線形から狭卵形の托葉があり、先端が伸びています。

花期は9月から10月で、茎の先端に円錐状の花序を、上部の葉の付け根に総状の花序を形成し、多数の蝶形花を咲かせます。花序の軸には毛が生えており、小花柄は4mmから11mmの長さで、細かい鉤状の毛で覆われています。花は紅紫色で、長さは6mmから8mm程度と、ヌスビトハギよりもやや大きいです。夕方には花はしぼみます。萼片は2mmから3mmの長さです。果実は豆果で、扁平な節果を形成します。節果は3個から5個の小節果からなり、上部は直線状、下部はやや深くくびれます。しかし、ヌスビトハギのように「くびれ」が点状になるほど深くはないのが特徴です。小節果はほぼ三角形で、長さ4mmから7mm、幅3mmから4.5mmで、表面全体に細かい鉤状の毛が生えています。染色体数は2n=22です。

分布と生育環境

原産地は北アメリカ東南部です。日本では、本州では東北地方南部以西、四国、九州、琉球に帰化しており、特に関東地方以西に多く見られます。北海道胆振地方での報告もあります。平地や市街地の日当たりの良い空き地、雑草地、開発地の空き地、道端などに生育します。

名前について

和名「アレチヌスビトハギ」は、「荒れ地に生えるヌスビトハギ」という意味で、1940年に岡山県の植物研究家である吉野善介氏が大阪府で本種を採集した際に命名されました。種小名の paniculatum は、「円錐花序の」という意味です。

分類

以前は、Desmodium 属はヌスビトハギ属として扱われていましたが、1994年の大橋広好氏と梶田忠氏によるDNA解析の研究により、日本のヌスビトハギ類は従来のヌスビトハギ属とは異なる属として分離され、Hylodesmum 属が新設されました。これにより、従来のDesmodium 属はシバハギ属となり、日本に分布する種はシバハギを含めた4種になりました。日本に帰化している同属の他の種としては、イリノイヌスビトハギ、アメリカヌスビトハギ、ムラサキヌスビトハギなどがあります。

その他

アレチヌスビトハギは、その種子の特徴から「ひっつき虫」としても知られています。衣服などにくっつきやすく、種子散布に役立っています。

参考文献

林弥栄監修、平野隆久写真　『野に咲く花』　山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑1〉、1989年
北川尚史監修、伊藤ふくお写真、丸山健一郎文　『ひっつきむしの図鑑』　トンボ出版、2003年
清水建美編『日本の帰化[[植物]]』、2003年、平凡社
清水矩宏、森田弘彦、廣田伸七編著『日本帰化[[植物]]写真図鑑』（一部改訂）、2011年、全国農村教育協会
林弥栄監修、門田裕一改訂版監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花（増補改訂新版）』、2013年、山と溪谷社
大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 2』、2016年、平凡社
牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

関連項目

ひっつき虫

外部リンク

アレチヌスビトハギ - 国立環境研究所 侵入生物データベース

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