アレックス・ジョン・バナル

アレックス・ジョン・バナルは、1988年12月28日にフィリピンのブキドノン州で生を受けた元プロボクサーです。リングネームであるA・J・バナルとしても広く知られています。

彼のプロキャリアは2006年に始まりました。同年7月22日、タグビラランで行われたアリ・ロシュマドとの一戦では、5回1分35秒で相手をマットに沈め、プロのリングで最初のKO勝利を飾ります。さらに同年10月21日には、マンダウエにてアンギー・アンコタと対戦し、フルラウンドの末、3-0の明確な判定勝ちを収めるなど、キャリア初期からその才能の片鱗を見せつけました。

若くして地域タイトル戦線に浮上したバナルは、2007年1月20日、セブで行われたWBOアジア太平洋スーパーフライ級ユース王座決定戦に臨みました。対戦相手のエサウ・ガオナに対し、開始からわずか1分8秒という驚異的な速さで初回KO勝利を飾り、このタイトルを獲得しました。この快挙は、彼の攻撃的なスタイルと決定力の高さを証明するものでした。

ユース王者として経験を積んだ後、バナルは世界の舞台を目指します。2007年12月2日にはケソン市でジョバンニ・ソトを9回TKOで破り、さらに2008年4月6日、同じくケソン市のアラネタ・コロシアムで行われたIBF世界スーパーフライ級挑戦者決定戦では、カリル・ヘレーラを4回1分18秒KOで下し、見事に世界挑戦権を獲得しました。この勝利により、当時のIBF世界スーパーフライ級王者ディミトリー・キリロフへの挑戦の道が開かれました。

しかし、世界王座への挑戦は容易ではありませんでした。2008年7月26日、セブ・コロシアムでWBA世界スーパーフライ級暫定王座決定戦としてラファエル・コンセプションと対戦。この試合でバナルは苦戦を強いられ、10回2分35秒、プロキャリアで初めてのKO負けを喫し、世界タイトル獲得の夢は一旦阻まれることとなりました。

初の敗北からの再起を図るべく、バナルは階級をバンタム級に上げ、再び戦線に戻ってきました。2009年1月31日にはノルディー・マナカネを4回KO、同年5月16日にはムブワナ・マツムラを2回KOと、連続KO勝利で復調をアピールします。

そして2010年7月17日、タグビラランにてBig YooとのWBOアジア太平洋バンタム級王座決定戦に臨みました。このチャンスを活かし、5回1分59秒でKO勝利を収め、スーパーフライ級に続き、バンタム級でもWBOアジア太平洋タイトルを獲得しました。このバンタム級での地域王座は、その後5度にわたって防衛に成功し、彼のキャリアにおける安定期を築きました。

地域王座防衛の実績を積み重ねたバナルに、再び世界タイトルのチャンスが巡ってきます。2012年10月20日、パサイ市のSMモール・オブ・アジア・アリーナで行われたWBO世界バンタム級王座決定戦に出場。ホルヘ・アルセの王座返上により空位となったタイトルを懸け、プンルアン・ソー・シンユーと対戦しました。しかし、この二度目の世界挑戦も実らず、9回1分45秒TKOで敗れ、惜しくも世界王座獲得は叶いませんでした。

アレックス・ジョン・バナルは、世界タイトルにはあと一歩届きませんでしたが、WBOアジア太平洋王座を複数階級で獲得し、特にバンタム級では5度の防衛に成功するなど、フィリピンの軽量級ボクシング界において重要な役割を果たした選手です。その攻撃的なファイトスタイルは、多くのファンを魅了しました。

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