アワモリ君売出す

『アワモリ君売出す』：青春コメディの金字塔

1961年7月30日、東宝系で公開された『アワモリ君売出す』は、坂本九を主演に迎え、当時『週刊読売』で連載されていた秋好馨の漫画『アワモリ君』を原作とする青春コメディ映画です。モノクロ、東宝スコープ、上映時間73分。キャッチコピーは「ただ突進！ニキビが親父に恋の手ほどき 申訳ない！」と、当時としてはインパクトのある言葉で話題を呼びました。

若き才能の競演

本作は、当時デビュー3年目の若手監督、古澤憲吾によって彩られた作品です。古澤監督はそれまでサラリーマン喜劇やアクション映画などを手掛けていましたが、本作で娯楽映画専門監督としての道を歩み始めることになります。また、坂本九と同じマナセプロダクションに所属していたジェリー藤尾、森山加代子、そしてダニー飯田とパラダイス・キングといった人気者たちが脇を固め、華やかなキャスト陣を形成しています。

斬新な演出と、坂本九のギャグ

『アワモリ君売出す』の見どころの一つに、後のクレージー[[映画]]で恒例となる「突然ミュージカル場面」が挙げられます。荒削りながらも、劇中に突如として挿入されるミュージカルシーンは、当時としては斬新な試みであり、観客を驚かせたことでしょう。そして、坂本九の代表的なギャグである「申し訳ない！」が、劇中で様々な場面で使用されているのも特徴的です。このギャグは、作品全体に軽妙な笑いを加える重要な要素となっています。

ストーリーとキャラクター

予備校生である主人公アワモリ九（坂本九）と、彼の周囲の人物たちの青春模様が描かれます。個性豊かな登場人物たちは、コミカルなやり取りを繰り広げ、笑いを誘います。九の父親であるアワモリ一（有島一郎）との関係性、親友カバ山ダイガク（ジェリー藤尾）との友情、そして気になる女性との恋模様など、様々な人間模様が丁寧に描かれており、観る者の心を掴みます。

スタッフとキャスト

製作は山本紫朗、脚本は新井一が務め、撮影は逢沢譲、音楽は神津善行、美術は小川一男、録音は斎藤昭、照明は高島利雄が担当しました。監督助手は児玉進。

出演者は、主人公アワモリ九を演じる坂本九の他、アワモリ一役に有島一郎、カバ山ダイガク役にジェリー藤尾、カバ山万三役に丘寵児、カバ山よろめき役に都家かつ江、加代子役に森山加代子、そしてダニー飯田とパラダイス・キングが自身を演じるなど、豪華な顔ぶれが揃っています。その他にも、沢村貞子、並木一路、宮田洋容、石田茂樹、塩沢とき、峯丘ひろみ、渡辺トモ子、佐田豊、桜井巨郎、芝木優子、桜井浩子、土屋詩郎、吉頂寺晃、二瓶正也、田辺和佳子など、多くの俳優たちが脇を固めています。

作品の評価とその後

『アワモリ君売出す』は、公開当時から人気を博し、現在でも多くのファンに愛される作品となっています。2006年4月には、CSチャンネルNECOで『アワモリ君』映画化シリーズ全作品がテレビ放送され、改めてその魅力が再確認されました。本作は、日本の青春コメディ映画史において重要な作品の一つと言えるでしょう。同時上映作品は『モスラ』でした。

関連作品

アワモリ君
轟先生
* パイノパイノパイ（劇中歌）

『アワモリ君売出す』は、軽快なテンポとユーモラスな演出、そして個性豊かなキャラクターたちが織りなす、忘れがたい青春コメディです。昭和レトロな雰囲気と、現代にも通じる普遍的なテーマは、多くの観客を魅了し続けることでしょう。

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