アングラ・レコード・クラブ

アングラ・レコード・クラブ（URC）とは

アングラ・レコード・クラブ（URC）は、1969年に秦政明によって設立された会員制レコードクラブです。「日本初のインディーズレーベル」とも称され、既存のレコード会社では発売が難しかったメッセージ性の強いフォークソングを中心にリリースしました。現在は会員制クラブとしての活動は行っておらず、ポニーキャニオンが販売権を取得し、過去のレコードをCDとして復刻・販売しています。

URCという名称は、同じ略称を持つ「ウラワ・ロックンロール・センター」とは無関係です。

歴史

黎明期

URC設立の背景には、当時のフォークシーンを取り巻く状況がありました。政治批判や反戦歌、差別用語などを含む楽曲は、大手レコード会社での発売が難しく、自主制作でリリースせざるを得ない状況でした。なぎら健壱は、大手レコード会社がフォークソングを「売れない」と見なしていたことも、自主制作を余儀なくされた理由の一つだと指摘しています。つまり、当時のレコード会社は、フォークソングの商業的な可能性を低く見ていたのです。

フォーク専門誌『うたうたうた〜フォーク・リポート』には、URC設立の意図と会員募集の内容が掲載されました。当初は会員制の通信販売のみで展開し、コンサート会場でも会員を募集。会費を納めた会員にレコードを送るというシステムでした。しかし、予想をはるかに超える入会希望者が殺到し、募集人数を拡大するも希望者は後を絶たず、わずか半年で全国のレコード店と販売契約を結び、正式にインディーズレコード会社「URCレコード」として発足しました。市販第一号LPは、1969年8月に発売された岡林信康の『わたしを断罪せよ 岡林信康フォーク・アルバム第一集』です。

会員制時代に配布した作品が市販化されたことで、「コレクターアイテムとしての価値が下がる」とクレームを付ける会員もいたようです。

大手レコード会社の参入とURCの規模縮小

フォークソングブームが到来すると、大手レコード会社もフォークに着目し、次々とフォーク系のレーベルを立ち上げました。URC所属のアーティストも大手レーベルに移籍するようになり、URCは規模を縮小。販売をエレックレコードに委託しましたが、エレックレコードの倒産後は、東宝レコードとアンダーグラウンド・ディスク・センター（UDC）へと委託先を変えました。時代とともに、過激なメッセージを持つ楽曲を歌うシンガーが減少し、多くのミュージシャンが大手レコード会社に移籍。URCの制作数は激減し、70年代終わりに活動を停止しました。

その後、SMS（渡辺プロダクション系列）、キティレコード、東芝EMI、エイベックスと発売元が変わり、復刻盤がリリースされました。エイベックスは一時アマゾンと提携し、再発リクエストを募るなど、新たな試みも行いました。

現在

現在はシンコー・ミュージックが原盤権を、ポニーキャニオンが販売権を取得しています。ポニーキャニオンはエレックレコードの販売権も取得し、2009年からは「エレックレコード・URCレコード復刻プロジェクト2009」を立ち上げ、2つのレーベルの主要作品を復刻。2013年からはグリーンウッド・レコーズが紙ジャケット・HQCDによる再発を開始し、CD化されていなかったタイトルや長らく再発されていなかったタイトルを中心にリリースしています。2017年にはポニーキャニオンから「URCアナログ復刻シリーズ」がスタートし、2018年5月までに全12タイトルがリリースされました。

所属していたアーティスト

五つの赤い風船
岩井宏
遠藤賢司
岡林信康
加川良
小森豪人
斉藤哲夫
阪本まもる
高石友也
高田渡
友部正人
中川五郎
はっぴいえんど
早川義夫
ひがしのひとし
古川豪
六文銭
三上寛
ザ・ディランII

ディスコグラフィー

シングル（7インチEP）
アルバム（17cmLP）
アルバム（30cmLP）

関連項目

関西フォーク
ベルウッド・レコード
エレックレコード (オリジナル)
エイベックス

参考文献

『日本フォーク紀コンプリート』黒沢進著、シンコーミュージック、2009年

外部リンク

公式ウェブサイト
* URC50周年記念プロジェクトサイト

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