アンゲリシン

アンゲリシン：セイヨウトウキ由来のフラノクマリン

アンゲリシンは、フラノクマリンという有機化合物の仲間です。植物由来の天然成分であり、セリ科の植物であるセイヨウトウキ（学名: Angelica archangelica、別名アンゲリカ）の根から抽出される精油中に含まれています。1842年、ドイツの化学者ルートヴィヒ・ブフナーによって初めて発見されました。

物理的性質と溶解性

アンゲリシンは、水にはほとんど溶けません。しかしながら、エタノールなどのアルコール類には温めると溶解し、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、二硫化炭素、テレピン油など、様々な有機溶媒には容易に溶解します。興味深い性質として、100℃に加熱すると赤色に溶融し、その後炭化します。この性質は、アンゲリシンの化学構造と密接に関連しています。

光毒性と発がん性

アンゲリシンは、他のフラノクマリンと同様に光毒性を示すことが知られています。これは、皮膚に付着した状態で紫外線（特にUV-A光）に暴露されると、光化学反応を引き起こし、皮膚に炎症や損傷を与える可能性があることを意味します。最悪の場合、発がんリスクの増加につながる可能性も指摘されており、取り扱いには注意が必要です。

しかし、アンゲリシンの発がん性については、現時点では明確に結論づけられていません。国際がん研究機関（IARC）は、アンゲリシンを「グループ3（ヒトに対する発がん性が分類できない）」に分類しています。これは、現時点でアンゲリシンがヒトに対して発がん性を示す証拠が不十分であることを示しています。今後、さらなる研究によって、より明確な分類がなされる可能性があります。

安全性に関する考慮事項

アンゲリシンの光毒性と潜在的な発がんリスクを考慮すると、取り扱いには細心の注意が必要です。皮膚への接触を避け、紫外線への暴露を避けることが重要です。もし皮膚に付着した場合には、直ちに石鹸と水で洗い流してください。また、アンゲリシンを含む製品を使用する際には、製品の取扱説明書をよく読んでから使用し、必要に応じて適切な保護具を着用してください。

まとめ

アンゲリシンは、セイヨウトウキ由来の天然成分であり、特有の物理的性質と光毒性を示すフラノクマリンの一種です。その発がん性については、現時点では明確な結論が出ていませんが、安全な取り扱い方法を理解し、適切な注意を払うことが重要です。今後の研究によって、アンゲリシンの安全性に関する理解がさらに深まることが期待されます。

もう一度検索