アンゴラ赤十字社

アンゴラ赤十字社（CVA）について

アンゴラ赤十字社（CVA）は、アンゴラの首都ルアンダに拠点を置く、国内における人道支援活動を担う組織です。緊急援助、災害救援、災害準備教育を主な活動とし、近年では黄熱病や飢饉への対処に力を入れています。社長はデルフィナ・クマンダラ氏、事務局長はジルベルト・アントニオ・ドミンゴス氏が務めています。

活動概要

アンゴラ赤十字社は、国際赤十字赤新月社連盟（IFRC）の戦略的目標に基づき、社会的に弱い立場にある人々を支援し、より安全で健康的な生活を送れるよう活動しています。具体的には以下の目標を掲げています。

地域社会の災害対応能力の強化と自然災害の影響軽減
災害や人災に対応できるスタッフの能力向上
コミュニティの回復力開発と生計向上
社会的包摂、平和と調和の促進

アンゴラが抱える課題

アンゴラは、人間開発指数が世界的に低い水準にあり、医療へのアクセスが困難、劣悪な水質と衛生環境、栄養不良といった課題を抱えています。特に、人口の多くが栄養失調に苦しみ、乳幼児死亡率も高い状況です。また、農村部では貧困が深刻であり、教育機会の不足や犯罪、家庭内暴力なども問題となっています。経済は石油収入に大きく依存していますが、農業も徐々に成長しています。しかし、農村部では自給自足農業や漁業に頼る人々が多く、自然災害や野生動物の脅威にさらされています。

近年の主な活動

黄熱病への対応

2015年12月に首都ルアンダで黄熱病が確認されて以来、アンゴラ赤十字社は保健省と協力し、感染拡大の抑制に努めました。ワクチン接種活動を積極的に展開し、国民への予防啓発も行いました。2016年には、WHOも支援に加わり、大規模なワクチン接種キャンペーンを実施。その結果、アンゴラ全土で多くの人々が予防接種を受けることができました。しかし、ワクチンへの不信感から接種をためらう人々も存在し、その対応も課題となりました。

飢饉への対応

2022年頃からアンゴラ南部で干ばつが発生し、作物の不作や家畜の減少により、深刻な食糧危機が発生しました。アンゴラ赤十字社は、食料、水、保健衛生支援を提供し、被災者の生活を支えました。特に、子供や妊娠中の女性への支援を重視し、緊急性の高い支援を継続しました。

コレラ対策

2006年には、アンゴラ全土でコレラが流行しました。アンゴラ赤十字社は、保健省と協力してコレラ啓発プログラムを実施し、感染拡大の防止に尽力しました。アメリカ赤十字社もこの活動を支援しました。

組織内部の問題

一方で、アンゴラ赤十字社は組織内部の腐敗が指摘されています。横領、資金流用、給与未払いといった疑惑が報じられており、組織運営の透明性や健全性が課題となっています。特に、2017年当時の会長が、当時の大統領の娘で大富豪であったことから、組織の私物化や不透明な資金運用が問題視されました。これらの問題により、国際社会からの信頼を損ね、支援の遅れや停滞につながる可能性も指摘されています。

英国との関係

アンゴラ赤十字社は、英国との関係も深く、ダイアナ妃やヘンリー王子が地雷原を訪問し、地雷廃絶を訴える活動を行いました。このことは、アンゴラの地雷問題に対する国際的な関心を高める上で重要な役割を果たしました。

まとめ

アンゴラ赤十字社は、アンゴラの人道支援において重要な役割を担っています。しかし、組織内部の腐敗問題など、多くの課題も抱えています。今後、組織の透明性を高め、信頼を回復し、アンゴラの復興に貢献していくことが期待されます。

脚注・出典

* 国際赤十字赤新月社連盟によるアンゴラ赤十字社の説明

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