アンソニー (DD-515)

USS Anthony (DD-515)

USS Anthony（DD-515）は、アメリカ海軍のフレッチャー級駆逐艦の一隻です。この艦艇はウィリアム・アンソニー海兵隊曹長にちなみ命名され、愛称は「マッド・アンソニー」として親しまれました。訓練を重ねながら、主に太平洋戦域で多岐にわたる任務を遂行しました。1946年に退役した後、1958年には西ドイツ海軍に貸与され、その名を「Zerstörer-1 (D-170)」と改名されました。

艦船の概要

USS Anthonyは、フレッチャー級駆逐艦の一部で、他の同級艦とともに第90駆逐隊を形成し、主に太平洋において対地砲撃や船団護衛、レーダーピケット任務などに従事しました。1946年の退役後も1958年から1972年まで西ドイツ海軍の一部として活躍し、最終的には解体に至ることとなります。

艦歴のハイライト

1942年-1943年

1942年8月17日にメイン州バスで起工されたUSS Anthonyは、1942年12月20日に進水し、1943年2月26日にボストン海軍工廠で正式に就役しました。艦名は、ウィリアム・アンソニー上級曹長の家族によって命名され、彼の名を刻むこととなりました。就役後間もなく、グアンタナモ湾で慣熟訓練を経て太平洋へと進出します。

4月に海軍艦隊に加わった「アンソニー」は、ハワイを経由し、エファテ島への船団護衛を担当し、真珠湾に到着。その後も、ソロモン諸島やブーゲンビル島での任務に従事し、兵員輸送船の護衛と補給を行いました。

1944年

1944年1月から5月にかけては、グリーン島上陸の護衛や、ニューブリテン島ラバウルへの砲撃任務に参加しました。特に砲撃では、敵艦艇を撃沈するなどの成果を上げたほか、マリアナ諸島への進撃にも関与しました。6月にはサイパン島やグアムへの攻撃を通じて、海軍の主力として活躍しました。

7月に入ると「アンソニー」は次第に母国に接近し、補給や修理を行いながら再度の任務に備えました。カリフォルニアに帰還した後、さらなる訓練を行い年末には真珠湾に戻りました。

1945年

1945年に入ると、「アンソニー」は硫黄島の戦闘支援を目的とした任務を遂行し、続いて沖縄戦にも参加することになります。関与した任務の中で、特攻機に対する防衛にも成功し、艦艇の搭乗員の救助活動も行いました。特に沖縄周辺での任務は、日本軍の攻撃をかわしつつ先駆的な役割を果たしました。

戦後

1946年に退役した後、「アンソニー」は1958年に西ドイツ海軍に貸与され、長い間、その名を引き継ぎましたが、1972年には除籍されて解体される運命にありました。最終的には1979年に地中海に沈むこととなり、約40年にわたる艦歴は幕を閉じました。

このように、USS Anthonyは戦争と平和の両面でアメリカ海軍の重要な一部を担い、その名は今なお歴史に刻まれています。

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