アンソニー・ネスティ

アンソニー・ネスティは、1967年11月25日生まれのスリナム出身の元競泳選手です。彼は、Enith Brigithaに次いで、史上2人目の黒人競泳メダリストとなりました。

輝かしい競技成績

ネスティのキャリアにおける最大のハイライトは、1988年のソウルオリンピックです。競泳男子100mバタフライ決勝で、当時最強を誇ったマット・ビオンディ（アメリカ）を0.01秒差で破り、スリナムに史上初のオリンピック金メダルをもたらしました。この勝利は、ネスティの才能と努力の結晶であり、スリナム国民にとって誇り高い瞬間となりました。

その後、ネスティはフロリダ大学に進学し、バタフライ種目で3年間無敗という記録を打ち立てました。彼の圧倒的な強さは、大学水泳界でも際立っていました。

生い立ちと才能の開花

ネスティは、5人兄弟の末っ子としてトリニダード・トバゴで生まれ、9歳の時に家族と共にスリナムに移住しました。幼い頃から水泳の才能を発揮し、ロサンゼルスオリンピックのバタフライで21位となった後、ジャクソンビルにある世界的な水泳スクールで練習を積みました。

このスクールで、ネスティはパブロ・モラレス（ロサンゼルスオリンピックメドレーリレー金メダル、1992年バルセロナオリンピックバタフライ金メダリスト）が作ったスクール記録を1987年に塗り替えました。また、インディアナポリスで行なわれたパンアメリカン競技大会では100mで金メダル、200mで銅メダルを獲得するなど、着実に実力をつけていきました。

国民的英雄

ソウルオリンピックでの金メダル獲得後、スリナム政府はネスティの功績を称え、記念切手、金貨、銀貨を発行しました。これは、ネスティがスリナム国民にとってどれほど大きな存在であるかを示すものでしょう。

フロリダ大学に進学後も、ネスティは100mで1990年から1992年に、200mでは1990年にNCAAチャンピオンに輝きました。1991年には大学の400mメドレーリレーのメンバーにも選ばれ、その才能を発揮しました。さらに、1990年のグッドウィルゲームズ、1991年の世界水泳選手権でも優勝するなど、国際舞台でも活躍しました。

1992年のバルセロナオリンピックにも出場しましたが、銅メダルに終わりました。

指導者としての現在

現在は、フロリダ大学で水泳コーチとして後進の指導にあたっています。また、2008年北京オリンピックの開会式では、オリンピックのスリナム選手団の旗手として参加しました。

アンソニー・ネスティは、スリナムのスポーツ史に名を刻むだけでなく、黒人アスリートのパイオニアとしても、多くの人々に勇気と希望を与え続けています。

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