2008年北京オリンピックの開会式

2008年北京オリンピック開会式：歴史と革新の融合

2008年8月8日、北京国家体育場（通称：鳥の巣）で、2008年北京オリンピックの開会式が開催されました。午後8時8分8秒という、中国で縁起の良い数字に合わせた開始時刻は、世界中の注目を集めました。日本では、NHK総合と衛星第1で生中継され、平均視聴率37.3%を記録、1964年東京オリンピックに次ぐ歴代4位の高視聴率となりました。

開会式までの道のり

開会式の演出は、映画監督の張芸謀が総監督を務め、振付師の張紹鋼と陳維亜がアシスタントディレクターとして支えました。コスチュームディレクターには石岡瑛子、ヴィジュアルディレクターには蔡國強が選ばれ、国際色豊かなチームが結成されました。当初、芸術顧問にはスティーヴン・スピルバーグ監督やクインシー・ジョーンズらが名を連ねていましたが、ダルフール紛争に関する中国政府の姿勢に抗議し、辞任しました。

壮大な式典の幕開け

式典は、古代中国の日時計の映像から始まりました。その後、電飾付きの打楽器「ほとぎ（缶）」2008台を用いたカウントダウンが開始され、会場を埋め尽くす光の演出は圧巻でした。カウントダウン後、奏者たちは「有朋自遠方來不亦樂乎」と唱和し、世界中からの賓客を歓迎しました。

北京市街上空には、29歩の足跡を象った花火が打ち上げられ、オリンピック開催を祝いました。また、会場には飛天に扮したスタントマンが舞い、五輪マークが輝きを放ちました。9歳の少女タレント、林妙可が愛国歌を歌い、各民族の衣装を着た子供たちが国旗を掲揚しました（歌声は別人の少女による口パクでした）。

中国の歴史と文化を彩るアトラクション

開会式のアトラクションは3時間を超え、中国の悠久の歴史と文化、人類史に残る発明をテーマに、豪華絢爛に展開されました。張芸謀監督は、中国の重要な発明品である「紙」に着目し、式典全体を構成しました。巨大な紙の巻物（実際はLEDスクリーン）に山水画が描かれ、孔子の門弟に扮した3000人が「四海之内皆兄弟也」と朗誦しました。

続いて、活版印刷の巨大活字群が登場し、万里の長城が築かれる様子や、京劇、シルクロードをテーマにした演出が繰り広げられました。音楽では、ピアニストの郎朗が少女と連弾し、環境問題に焦点を当てた演出も行われました。最後には、地球を模した巨大な球体が登場し、世界中の子供たちの笑顔が映し出され、テーマソングが歌われました。

各国選手団の入場と、その後の展開

選手団の入場では、アトラクションで製作された巨大山水画がトラック上に置かれ、選手たちは五色の砂を足底につけて行進しました。このフットペインティングにより、モノトーンの山水画は鮮やかに彩られました。入場順はギリシャを先頭に、中国を最後とし、各国の中国語表記の画数順で決定されました。日本は23番目の入場となりました。式典中、福田康夫首相が自国の選手に手を振らなかったことが批判を浴びました。

選手入場の後、劉淇北京オリンピック組織委員会会長とジャック・ロゲIOC会長が挨拶し、胡錦濤国家主席が開会を宣言しました。五輪旗が掲揚され、選手・審判宣誓が行われた後、聖火リレーが行われ、最終ランナーの李寧が聖火台に点火しました。

天候操作と各国の要人

開会式当日、雨雲が接近していたため、中国当局はヨウ化銀を含んだロケットを発射し、人工降雨によって雨雲を消滅させました。また、開会式には100人を超える国家元首・首相・各地域首長が出席し、オリンピック史上最多となりました。

開会式リハーサル映像流出問題

開会式の10日前、韓国のSBSテレビがリハーサル映像を放映し、聖火台の形状が漏洩するという事件が発生しました。この映像はYouTubeにもアップロードされ、中国側から非難の声が上がりました。SBSは後に謝罪し、映像を削除しましたが、北京オリンピック放送有限公司から制裁措置を受けました。

2008年北京オリンピック開会式は、壮大な演出、歴史と文化、そして技術が融合した素晴らしいイベントとして、世界中の人々の記憶に残るものとなりました。

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