アンティオキアのセウェロス

アンティオキアのセウェロスとは

アンティオキアのセウェロス（465年頃 - 538年2月8日）は、6世紀初頭に活躍した神学者であり、アンティオキア総主教（512年-518年）を務めました。彼はキリストの神性と人性の統一性を強調する単性論を軌道修正し、今日の非カルケドン派が奉じる合性論を構築したことで知られています。非カルケドン派からは「セウェロス的」とも呼ばれ、実質的にはキリストの神人両性を認めながらも、形式上はキリストに一つの本性のみを認める立場を支持しました。

生涯

セウェロスは、ピシディアのソゾポリスで異教徒の家庭に生まれました。アレクサンドリアとベリュトスで教育を受けた後、トリポリスの聖殉教者レオンティオス聖堂で洗礼を受けました。洗礼と同時に非カルケドン派運動に参加し、自らが受けた洗礼や洗礼を授けた人物、さらにはネストリオス派とみなした教会を否定しました。

非カルケドン派の教義を奉じ、ガザとその外港マイウーマの間にある修道院に入りました。そこで、ガザの主教に叙任された非カルケドン派の僧侶イベリアのペトロスと出会います。同時期に、セウェロスは修道院長ママスの下でエレウテロポリス付近の非カルケドン派修道院に入ったとされています。ゼノン帝のヘノティコンを「無効の布告」そして「分裂をもたらす布告」として拒否し、ヘノティコンを受け入れたアレクサンドリア総主教ペトロス3世を破門しました。

その後、エジプトの修道院で院長ネファリオスとの不一致から追放されます。アレクサンドリアでの宗教紛争に巻き込まれ、約200人の僧侶と共にコンスタンティノープルに逃れました。アナスタシウス1世が皇帝となると、非カルケドン派に傾倒したアナスタシウスはセウェロスを歓迎します。コンスタンティノープルでは、カルケドン派と非カルケドン派の対立が激化しましたが、最終的には非カルケドン派が優勢となりました。

511年、アナスタシウス帝によってアンティオキア総主教に任命されました。しかし、就任当日にカルケドン派から破門を宣告され、これを回避するためにヘノティコンを受け入れました。コンスタンティノポリスのティモテオスやアレクサンドリアのヨハネス・ニキオタといった高位聖職者と協力し、非カルケドン派はキリスト教世界で勝利を収めたかのように思われました。

しかし、その勝利は長く続きませんでした。アナスタシウス帝の死後、カルケドン派を奉じるユスティヌス1世が皇帝となると、非カルケドン派の高位聖職者は次々とカルケドン派の後任者と交代させられ、セウェロスもその例外ではありませんでした。518年、セウェロスはアレクサンドリアに向けて逃亡しました。

アレクサンドリアでは、総主教ティモテオス3世に歓迎され、正統教義の擁護者として称賛されました。しかし、キリスト論に関する激しい論争が起こり、セウェロスもその論争に巻き込まれました。この論争は、キリストの復活前の肉体の腐敗の有無を巡るもので、最終的にセウェロスが勝利したとされています。

数年間、エジプトで活動した後、ユスティニアヌス1世の妃テオドラの計らいでコンスタンティノープルに召喚されます。ユスティニアヌス帝は、神学的議論による混乱を鎮めるために、セウェロスの影響力を利用しようと考えました。非カルケドン派のアンティモス1世がコンスタンティノープル総主教に就任しますが、カルケドン派の反発により、アンティモスは廃位され、セウェロスも再び破門されました。

セウェロスはエジプトに戻り、538年、539年、542年のいずれかに死去したとされています。

著作と神学

セウェロスは多作な著述家であり、多くの著作を残しましたが、そのほとんどは断片のみが現存しています。彼は、非カルケドン派を一つのまとまった集団にまとめ上げるという大きな目標を達成しました。彼は、自身のキリスト論を『オイクメニオスへの手紙』で明らかにしています。そこでは、キリストの神性と人性の両方が保持されていると述べられており、単性論を修正した合性論の立場を示しています。

セウェロスは、キリストは一つの本性を持つとしながらも、神性と人性という二つの本性の特性はキリストの本性の中に保存されていると考えました。これは、単性論のようにキリストの神性のみを強調するのではなく、神性と人性の両方を認めるものであり、非カルケドン派の神学の基礎を築きました。

結論

アンティオキアのセウェロスは、その神学的な業績だけでなく、その波乱に満ちた生涯においても、後世に大きな影響を与えた人物です。彼の教義は、今日でも非カルケドン派の教会において重要な位置を占めています。

参考文献
G. E. W. Brooks (London), 1904
Dorner, major work
Herzog's Encyclopedia, article "Monophysiten"
Henry Wace, A Dictionary of Christian Biography and Literature to the End of the Sixth Century A.D.
Joseph Lebon, passim.
Pauline Allen and Robert Hayward, Severus of Antioch, Routlege, 2004.
Frédéric Alpi, several recent articles in French devoted to the episcopate of Severus.


外部リンク
Severus: A collection of letters from numerous Syriac manuscripts
A bibliography of Severus of Antioch
The Christology of Severus of Antioch.
* A collection of letters from numerous Syriac manuscripts

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