合性論

合性論について

合性論は、特に非カルケドン派正教会において支持されるキリスト論神学の一側面であり、ギリシャ語では『Μιαφυσιτισμός』、英語では『Miaphysitism』と呼ばれています。この教義は、イエス・キリストの神性と人性が一体となり、一区分されることなく、分割や混合もされない一つの本性を持つとする考え方を基盤としています。合性論は、カルケドン公会議の決定を否定する立場としても位置づけられ、キリスト教の多様な解釈の一環をなしています。

合性論の歴史的背景

「合性論」という用語は、主にネストリウス派に対する反論の中で形成されました。ネストリウス派が神性と人性の明確な区別を強調しすぎたことから、シリアやエジプトの教会は自らの神学的立場をさらに強固に示すためにこの用語を用い始めたのです。 合性論者たちは、伝統的にキリストの二つの本性に関する議論を通じて、神秘的なキリストの本性を探求し続けました。

この過程で、エウテュケス派とネストリウス派のそれぞれが神性と人性についての異なる解釈を持ち、双方ともカルケドン派から非難されました。エウテュケス派は、キリストの神性が人性を吸収する形で一者となると主張しましたが、カルケドン公会議においてこの立場は排除されました。

それに対して合性論は、アレクサンドリアのキュリロスの観点を取り入れながら、受肉したキリストが持つ一つの本性の中に両方の特質が共存していると強調しました。この見方は、受肉した神のロゴスに関して特に重要な側面となっています。

合性論とカルケドン派

451年に行われたカルケドン公会議は、キリストにおける神性と人性を明確に区別する両性論を採用しました。この結果、カルケドン派は合性論を単性論と見なすようになり、両性論はキリスト教における主要な解釈の一つとなりました。しかし、合性論を信奉する教会、特にエジプトのコプト[[正教会]]などは、この公会議の決定を拒否し、独自の立場を主張し続けました。

このカルケドン公会議の結果、非カルケドン派正教会は分派し、再統合に向けた試みも数回行われましたが、根本的な教義の違いは残りました。20世紀以降、これらの教会間での対話が進み、違いが単なる表現上のものであるという見解も増えてきています。

合性論を支持する教会

合性論を支持する主要な教会には、アルメニア使徒教会、コプト[[正教会]]、シリア正教会、そしてエチオピア正教会などがあります。また、これらの教会とは異なるが合性論的立場を取る独立カトリック教会も存在し、アメリカのアンティオキア・カトリック教会がその一例です。

合性論に関する議論は続いており、カルケドン派においても様々な解釈が模索されています。特に、キリストの本性についての哲学的な用語の乱用に関する理解や、言語の違いに起因する曖昧さが問題視されています。これに対し、最近では合性論への理解が進み、両性論との共存も視野に入れられるようになっています。

合性論は複雑な歴史的背景と多様な解釈を持つ教義ですが、キリスト教の神学における重要な課題となっており、今後も研究と議論が続くでしょう。

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