アンティオキア攻囲戦 (968年-969年)

アンティオキア攻囲戦 (968年-969年)

968年から969年にかけて、東ローマ帝国軍はハムダーン朝支配下のアンティオキアを攻囲しました。この戦いは、東ローマ帝国にとって戦略的に重要な勝利となり、その後の勢力拡大に大きく貢献しました。

背景

968年、東ローマ皇帝ニケフォロス2世フォカスは、シリアを略奪した後、冬を迎える前にコンスタンティノープルへの帰還を決定しました。しかし、その出発前に、彼はアンティオキア近郊にバルガス要塞を築き、ミカエル・ブルツェスを司令官に任命しました。皇帝はブルツェスに対し、ペトルスとともにアンティオキアを包囲するよう命じました。さらに、アンティオキアの構造的完全性を保つため、武力による奪取を避けるよう厳命しました。

戦闘の経過

しかし、ブルツェスは皇帝の命令に反し、冬まで待つことを良しとしませんでした。彼は皇帝に良い印象を与え、自らの手で栄光を掴みたいという野心から、守備隊との交渉を開始しました。同時期、ペトルスはシリアの司令官アイシャルシュとともに周辺地域を急襲しており、おそらく最初にQarghuyahとの交渉を行いました。ブルツェスは、Kallas towersの司令官アウラックスと密かに同盟を結んだ可能性があります。アウラックスは、贈り物と名声の見返りに、夜間にブルツェスが自らの部隊300名をKallas towersに侵入させるのを手助けしました。これにより、東ローマ帝国軍はアンティオキアの外壁に足がかりを築くことができました。

外壁を制圧したブルツェスは、アンティオキア奪取のため、ペトルスを呼び戻しました。当初、ペトルスは皇帝の命令を思い出し躊躇しましたが、ブルツェスの要求が切迫しており、兵士たちが外壁で不利な状況に陥り始めたため、アンティオキアに戻り奪取に協力することにしました。969年10月28日、ペトルスがKallas gatesに接近したことで、アンティオキア守備隊は撤退し、敗北しました。

戦後

アンティオキアを奪取した後、ブルツェスは皇帝の命令違反により解任され、最終的には皇帝暗殺の陰謀に加担しました。一方、ペトルスはシリア奥深くまで進軍し、アレッポを包囲・奪取し、サファル条約によって東ローマ帝国の属国を設立しました。

脚注

この攻囲戦は、東ローマ帝国の対外政策における重要な転換点となりました。
ブルツェスの行動は、当時の政治的野心と、それがいかに重大な結果をもたらすかを示す典型的な例です。

参考文献

Kaldellis, Anthony (2017). Streams of Gold, Rivers of Blood: The Rise and Fall of Byzantium, 955 A.D. to the First Crusade. Oxford University Press. ISBN 978-0190253226
Lilie, Ralph-Johannes; Ludwig, Claudia; Pratsch, Thomas; Zielke, Beate (2013). Prosopographie der mittelbyzantinischen Zeit Online. Berlin-Brandenburgische Akademie der Wissenschaften. Nach Vorarbeiten F. Winkelmanns erstellt (German). Berlin and Boston: De Gruyter.
Romane, Julian (2015). Byzantium Triumphant*. Pen and Sword Books. ISBN 978-1473845701

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