アンティフォナ

アンティフォナ（Antiphona）

アンティフォナ (羅: antiphona)、アンティフォーナ（古典ギリシャ語: ἀντίφωνα / ἀντίφωνον）、アンティフォン（英/露: Antiphon）は、キリスト教聖歌の形式の一つで、合唱隊を二つに分けて交互に歌う形式を指します。この形式は、カトリック教会や正教会といった東西の聖伝承教会で現在も広く用いられています。

呼び名

カトリック教会

ラテン語の「アンティフォナ」は、ギリシャ語の発音を受け継いだもので、第2バチカン公会議まではカトリック教会における正式な呼び方でした。しかし、公会議以降は各国語に訳されたものが推奨され、現在では歴史的な言い回しとなりつつあります。

日本のカトリック協議会では、「交唱」という訳語の使用を推奨しています。また、西方教会の影響下で発展した西洋音楽の領域では、ラテン語の「アンティフォナ」を踏襲するか、各国語の表記を用いるのが一般的です。

正教会

初代教会以来、ビザンチン典礼を受け継ぐ正教会では、各国語で様々な呼び方がされています。

ギリシア正教会では、連祷など一群の応答を総称して複数形の ἀντίφωνα（アンティフォナ）、この形式での一連の歌に単数形の ἀντίφωνον（アンティフォノン）を用います。

ロシア[[正教会]]では、ロシア語の антифон（アンティフォン）と呼ばれます。日本ハリストス[[正教会]]では、ロシア教会からの宣教により、「倡和詞（アンティフォン）」と訳され祈祷書に掲載されています。「応答歌」という訳語は、「イパコイ」という別の形式の聖歌に用いられます。

様式

ギリシャ世界

紀元前のギリシャ世界において、アンティポーノン（アンティフォーノン）はオクターブでの斉唱を指していました。合唱を二つに分けて交互に歌う形式は非常に古い起源を持ち、初期キリスト教の時代には既に存在していました。

英国国教会

英国国教会で使用されている anthem（アンセム）は、宗教改革まではカトリック教会のアンティフォナと内容が全く同じでしたが、宗教改革以降は聖歌全体に対する総称に変わりました。

正教会

日本ハリストス[[正教会]]では、聖体礼儀をはじめとする奉神礼において、隊形を名前の通りに分けて行うかどうかは状況によりますが、その時に歌われる聖歌は常に「アンティフォン」と呼ばれます。

聖体礼儀では「第一」から「第三」まで3つのアンティフォンがあり、祭日でない通常の主日には、「第一」「第二」の歌詞は聖詠経から採られ、「第三」は「真福九端」（マタイ5:3-12）が歌われます。

カトリック教会

カトリック教会では、ローマ聖歌、アンブロジウス聖歌、グレゴリオ聖歌などでアンティフォナが歌われます。歌詞は聖書から採られ、特に旧約[[聖書]]の詩篇からが多いです。アンティフォナは詩篇唱の前後に分けて歌われるのが一般的でした。

特に、聖務日課の「終課（Completorium）」においては、以下の4つの聖母マリアのアンティフォナのうち1つを必ず歌うことになっていました。

"Ave Regina Caelorum"（アヴェ・レジーナ・チェロールム、幸いなるかな天の女王）
"Regina Caeli"（レジーナ・チェリ、天の女王）
"Salve Regina"（サルヴェ・レジーナ、幸いなるかな女王）
"Alma Redemptoris Mater"（アルマ・レデンプトリス・マーテル、救い主のうるわしき母）

関連項目

レスポンソリウム
イムヌス
カンティクム
ミサ曲
中世[[西洋音楽]]
ポリフォニー

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