アンテフ4世

アンテフ4世についての詳細

アンテフ4世（Intef IV）は、紀元前1750年頃に在位した古代エジプト第13王朝の第19代または第23代ファラオです。その即位名であるセヘテプカラーは、トリノ王名表の第6欄22行目に記載されており、またカルナックの王名表にもその名が刻まれています。さらに、エジプトのファイユームにあるメディネト＝マディに佇む女神レネネトの神殿からは、彼の彫像が発見されています。とはいえ、アンテフ4世が何番目の支配者であったのかは今も不明で、4世という名称は主に便宜的なものであるとされています。

アンテフ4世の在位期間に関しては、残されたパピルスの多くが損傷を受けており、詳細な情報を得ることが難しい状況です。それでも、先代のファラオであるイミロメシャや、アンテフ4世、さらに後の後継者セティ・メリイブラーの3人の統治期間の合計が約10年程度であったと考えられています。

古代の宮廷記録の中には、イミロメシャまたはアンテフ4世と思われる名前の不明な王の家族に関する記述が存在し、その記載の中には治世3年目と5年目の日付が確認されています。加えて、先代の王であるケンジェルのピラミッドに隣接する未完成のピラミッド複合体が、アンテフ4世によって建設された可能性が指摘されています。内部からは治世5年3月の日付が発見されており、これによりケンジェルからセベクヘテプ3世までの王のいずれかが少なくとも5年間は統治したと推測されています。

アンテフ4世の統治がどのように終わったのかは、歴史的な記録からは定かではありません。しかし、彼の後継者セティ・メリイブラーが使用した血統名には、アンテフ4世との明確な血縁を示す痕跡が存在しないことから、セティ・メリイブラーが王位を簒奪した可能性も示唆されています。これにより、古代エジプトの政治的な動乱や王位継承に関する興味深い歴史的推測が生まれています。

このように、アンテフ4世の存在は古代エジプト史の中で重要な位置を占めているものの、その詳細については依然として多くの謎に包まれています。彼に関する記録は散発的で不完全であり、学者たちは今後の研究により、新たな事実を発見できることを期待しています。彼の治世の正確な評価や、その影響については、今後の考古学的な発掘や文献の発見によって解明されることが期待されるでしょう。

参考文献

• - ピーター・クレイトン『古代エジプトファラオ歴代誌』吉村作治監修、藤沢邦子訳、創元社、1999年4月。
• - エイダン・ドドソン、ディアン・ヒルトン『全系図付エジプト歴代王朝史』池田裕訳、東洋書林、2012年5月。
• - K.S.B. Ryholt, The Political Situation in Egypt during the Second Intermediate Period, c.1800-1550 BC.
• - Darrell D. Baker: The Encyclopedia of the Pharaohs: Volume I - Predynastic to the Twentieth Dynasty 3300–1069 BC.

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