アントニオ・デ・ウジョーア

アントニオ・デ・ウジョーア：多才なスペインの探検家、軍人、そして行政官

アントニオ・デ・ウジョーア（Antonio de Ulloa, 1716年1月12日 - 1795年7月3日）は、18世紀のスペインにおいて、軍人、探検家、天文学者、そして初代ルイジアナ行政長官として、多岐にわたる分野で活躍した人物です。彼の生涯は、科学的な探求、異文化との接触、そして政治的な波乱に満ちています。

ペルーへの測地遠征とプラチナの発見

ウジョーアは1733年に海軍に入隊し、1735年にはフランス科学アカデミーによる測地遠征隊の一員として、ホルヘ・フアン・イ・サンタシリア(Jorge Juan y Santacilia)と共にペルーに派遣されました。この遠征の目的は、地球の子午線弧長を正確に測量することでした。彼は1736年から1744年までの間、南米に滞在し、測量作業に従事しました。この滞在中、コロンビアのピント川近くでプラチナが発見されたことを記録し、帰国後フアンとの共著『南米諸王国紀行』に発表しました。この記録が、ウジョーアがプラチナの発見者の一人として知られるようになった理由です。

南米での行政官としての活動

科学的な探求だけでなく、ウジョーアは行政官としても重要な役割を果たしました。1758年には、南米ペルーのワンカベリカの施政官に任命され、1764年までその地位にありました。この間、地域の統治に尽力し、スペイン帝国の権威を維持することに貢献しました。

初代ルイジアナ行政長官としての苦難

1762年にスペイン領となったルイジアナにおいて、ウジョーアは初代行政長官に任命され、1766年3月5日にニューオーリンズに赴任しました。しかし、フランス系住民はスペインの支配に反発し、反乱を起こしました。そのため、ウジョーアはルイジアナから逃れることを余儀なくされました。この出来事は、彼の行政官としてのキャリアにおける挫折となりました。

その後の軍人としての活動と晩年

ルイジアナでの苦い経験の後、ウジョーアは海軍の軍人として再び活動しました。彼はスペイン海軍のために尽力し、その功績を認められました。その後、スペイン南部のカディスのレオン島で生涯を終えました。

著書

『南米諸王国紀行』

訳書

『南米諸王国紀行』 牛島信明訳・増田義郎注解、「17・18世紀大旅行記叢書8」岩波書店、1991年。ISBN 9784000088084。

アントニオ・デ・ウジョーアは、科学、探検、行政、軍事といった多岐にわたる分野で才能を発揮し、激動の時代を生きた人物でした。彼の業績は、18世紀のスペイン史における重要な一部分として、今日に伝えられています。

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