アントワーヌ・ドワネル

アントワーヌ・ドワネルは、フランソワ・トリュフォー監督による一連の映画に登場する主人公であり、ジャン＝ピエール・レオが全作品で演じました。1959年の『大人は判ってくれない』で初めて登場し、以降、トリュフォーの代表作として知られる「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズとして展開されました。

トリュフォーは、『大人は判ってくれない』の成功によってヌーヴェルヴァーグの旗手として認識されるようになり、その後、「アントワーヌ・ドワネルもの」とも呼ばれるシリーズ作品を制作しました。

シリーズの中では、『夜霧の恋人たち』（1968年）でアントワーヌとクリスティン・ダーボン（演：クロード・ジャド）の恋愛模様が描かれ、『家庭』（1970年）では二人が結婚。シリーズ最終作となる『逃げ去る恋』（1979年）で、アントワーヌとクリスティンの関係に終止符が打たれます。

アントワーヌ・ドワネルという名前の由来は、シナリオ集「アントワーヌ・ドワネルの冒険」（1970年）の序文に記されています。トリュフォー自身が考案したと思っていた名前でしたが、尊敬するジャン・ルノワール監督の秘書、ジネット・ドワネルの姓からインスピレーションを得たのではないかと指摘され、驚いたというエピソードが残されています。

同一の監督が同一の俳優を起用し、一人の人物の少年時代から青年期、そしてその後の人生を映画として描き続ける手法は、映画史においても非常に稀な試みと言えるでしょう。アントワーヌ・ドワネルの成長と変化を通して、人生の喜びや苦悩、愛と別れ、そして社会との関わりを深く掘り下げたこれらの作品は、観る者に深い感動と共感を与え、普遍的なテーマを問いかけます。

アントワーヌ・ドワネルの冒険シリーズ:

大人は判ってくれない (1959年)
アントワーヌとコレット/二十歳の恋|アントワーヌとコレット_二十歳の恋 (1962年)
夜霧の恋人たち (1968年)
家庭 (1970年)
逃げ去る恋 (1979年)

参考文献:

山田宏一、蓮實重彦『トリュフォー 最後のインタビュー』（平凡社、2014年）

外部リンク:

フランソワ・トリュフォー - allcinema
François Truffaut - IMDb（英語）

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