アントン・ウルリヒ (ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公)

アントン・ウルリヒ：ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル侯の生涯

アントン・ウルリヒ（1633年 - 1714年）は、ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公の一人であり、ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル侯として知られています。彼の生涯は、政治的な駆け引き、文化的な貢献、そして宗教的な転換によって彩られています。

生い立ちと権力

アントン・ウルリヒは、アウグスト2世とドロテア・フォン・アンハルト＝ツェルプストの次男として生まれました。兄ルドルフ・アウグストが侯位を継承した後、アントン・ウルリヒは兄の代理を務めることもありました。1685年、ルドルフ・アウグストはアントン・ウルリヒを共同統治者とし、国政の多くを彼に委ねました。

政治的対立と亡命

アントン・ウルリヒの治世は、近隣諸国との対立に満ちていました。特に、ハノーファー選帝侯との関係は緊張していました。スペイン継承戦争では、フランス王ルイ14世側についたため、ゲオルク・ルートヴィヒ（後のイギリス王ジョージ1世）の侵攻を招き、一時的に廃位され、ザクセン＝ゴータ公国へ亡命する事態となりました。1704年に復位を果たすも、ゲオルク・ルートヴィヒとの抗争は、1706年の和平条約締結まで続きました。

文化的な貢献

アントン・ウルリヒは、学術と芸術の庇護者としても知られています。彼は父が設立したアウグスト公爵図書館の蔵書を大幅に増やし、哲学者のゴットフリート・ライプニッツを司書として雇いました。また、ヨーロッパ初の黒人博士号取得者であるアントン・ヴィルヘルム・アーモの後援者でもありました。自身も小説や詩を執筆し、美術品を収集してアントン・ウルリヒ公爵美術館を設立するなど、文化的な活動に積極的に取り組みました。

宗教的転換と晩年

1709年、アントン・ウルリヒはローマ・カトリックに改宗しました。しかし、領民に対しては従来のプロテスタント政策を維持することを保証し、宗教的な寛容さを示しました。1714年、彼は自身の建てたザルツダーラム宮殿で亡くなり、長男のアウグスト・ヴィルヘルムが後を継ぎました。

家族

1656年、アントン・ウルリヒはエリーザベト・ユリアーネと結婚し、13人の子供をもうけました。子供達の中には、エリーザベト・エレオノーレやルートヴィヒ・ルドルフなど、後の時代に名を残した人物もいます。

アントン・ウルリヒの生涯は、政治的な決断、文化的な貢献、そして個人的な信仰の変化が複雑に絡み合ったものでした。彼の遺産は、今日でもブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル侯国の歴史に深く刻まれています。

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